ゴールデンカムイ。短編集。キェェ。【ゴールデンカムイ】【短編集】

迷惑　月島基 ページ6

『月島！月島！月島！』月「うるさいです。黙りましょう。」

はぁ…なんでこの人はこんなにうるさいんだ…。

いつも私の名前を呼んで追いかけてくる…。なんか怖い。

まるで鯉登少尉殿じゃないですか。

『んえぇ…。月島はこれ迷惑？』月「とても迷惑です。」『そっかぁ…』

そう言ってあの子は去っていった。明日いないといいな。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜
次の日

『月島！月島！月島！』

月「こりゃダメですね。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『月島！月島！聞いて！』

月「何かあったんですか？」

あの子がやたらと嬉しそうに寄ってくる。

『鶴見中尉に任務任された！行ってくるね！』

月「帰って来なくていいですよ」『ヒドイっ』

いや冗談ですけどね。

そう言うとあの子は少し寂しそうに笑い、任務に向かった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜
後日

モブ「緊急！緊急！A上等兵！重症！」

月「…は？」

少し戸惑った。…と同時に、暫くうるさくなくて済むのか。と思った。

でもいざ仕事！…となると、どうしても違和感があるのだ。

あの子の声が聞きたい。あの笑顔を見たい、と。

どうしても仕事に手がつかなくなって、気がついたら病室の前まできてしまっていた。

少し扉を開けると、すぐそこのベットにあの子がいた。

近寄ると、酷い怪我だった。

可愛い顔は傷が付き、腕にはぐるぐると包帯が巻いてある。とても痛々しい。

月「…大丈夫ですか。」

『…えへへ…月島ぁ…大丈夫。』

この子の笑顔、声。全てが愛おしくて、

気がついたら抱きしめていた。

月「…Aっ…Aっ…」

『…初めて名前…呼んでくれましたね。』

確かにそうだ。ずっと、貴方、とかそう言う呼び方をして、一回も名前を呼んだ事がなかった。

『…私がいなくて寂しい？』

月「えぇ寂しいですよ。静かすぎます。なので、」

『？』

月「早く回復して私にその可愛らしい笑顔を見せて下さい。」

『！』

…何言ってるんだ私は…。

やばいと思っていると、

『フフッ…もちろんですよ。早く回復して沢山貴方への愛を叫んであげますよ。』

…なんて回答をするんだこの子は。

月「叫ぶと他の人にも貴方の声が聞こえてしまうので…」

月「…私にだけ聞こえるように言ってください。」

『…フフッ。月島。』

Aが私の耳に口を近づけた。

『…大好きっ』

月「…私もですよ。Aさん」

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