キミの襟足にキスがしたい

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次の日の日曜日は平穏で。



太輔と別れてから休みの日はずっと寝てるかぼんやりしてる事が多かったんだけど、久しぶりに部屋の大掃除をしたり、昨日の余った食材で自分の為に料理を作ったり、と、充実した休日になった。



･･････こうして過ごしてるうちに太輔を忘れてくのかな。



振られた時は絶望的だったけど
森さんと付き合った時は更にショックを受けたけど



前向きにならなきゃ。
太輔の事、ちゃんと過去にしなきゃ･･･って。



マイナス思考の日々からようやく抜け出せるかもしれない。



そう思って、次の日の月曜日。



よし、太輔の顔を見ても、･･･大丈夫。


森さんと、笑い合ってても、大丈夫。



いつもは見ないふりをしてたけど
今日はあえて視線を外さなかった。




･･････大丈夫、なのかな？
いや、無理･･･？


ダメだ、いきなりリハビリするには急すぎる。



徐々に、こうして慣らして行こう、



そう思ってたのに。









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「姫野さんて美人だからってお高くとまっててほんと嫌。」


「そうー？って、藤ヶ谷さんの元カノだから気に入らないだけでしょ？森は。」


「･･･どこが良かったんだろ、太ちゃんは。だから正反対の私がいいんだよね。」







知ってんじゃん。森さん。



知っててあんな風に私に太輔との話をわざとしてきてたんだ。



太輔が、話したのかな。
･･･それとも、皆知ってて知らないふりしてた？






「手料理、いっつも作ってたらしいよ？太ちゃんうんざりしてたんじゃない？結婚迫られるんじゃないかって。」






･･････そんなつもり、ない。



太輔が、そんな事森さんに言ったの？



あいつ、手料理ばっかで結婚の圧がすげーよって？



二人して、私の事笑ってるの？








給湯室での森さん達の会話を全て聞いてしまって
見つからないようにしなきゃ、とふらふらと歩いて自席に付いた。





･･････仕事、しなきゃ。





何も考えないようにして
定時と共に仕事を終わらせて無心で家路を急ぐ。





泣きたくて泣きたくてずっと堪えてたから
マンションの前にに辿り着くともう涙が零れそうだ。





「･･････っ、」





もう、ダメ。




エントランスの鍵を差し込んだ時に涙が零れ落ちる。






「Aちゃん？」





そんな私を柔らかい声で呼び止めてきたのは
昨日バイバイしてもう二度と会う事はないと思っていた人助けした子だった。

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