キミの襟足にキスがしたい

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そう思ってるのに
ぐぅーってミツのお腹の音がリビングに響く。




「もうダメだー、限界、昨日のお菓子ないの？」


「どうしてコンビニでもっと色々買って来なかったの？」


「いや･･･実はお金が、なくて。」


「え？」


「ポケットに小銭しかなくて食パンと卵買ったら全部無くなった。」





･････････。





顔は整ってるし
何度も思うけど可愛いくて愛らしいのに
こんなにも不憫な子、私、知らない。




「もうっ！わかったわよ！お昼ご飯作ればいいんでしょ？食べたら絶対出て行ってよ？約束してくんなきゃ作らない！」


「やった！実はね、ここ三日ろくに飯食えてねーのっ、」


「･･････いったいどういう事よ･･･、」




昨日ももしかしてあのお菓子しか食べてないんじゃあ･･･



今更ながら可哀想になってきた。



せめてお腹いっぱいにさせてあげよう。
そう決めてスーパーに買い物に出かけて
若い子が喜びそうなありったけの食材を買い込んで家に帰る。





「ほら！お肉！沢山買ってきたから。嫌いな物とかある？」


「ないないー、なんでも食べる！」


「じゃあちょっと待ってて。」


「うん！！」






やったあ！と両手を上げて喜んでる姿。



･･･やっぱり高校生なんじゃあ･･･、



でも、そんなのもうこの際どっちだっていい。



私は、昨日寒空で怪我をしてた子を見てられなくて人助けしただけ。



このご飯を食べて貰ったら一切関係のない子なんだから。



育ち盛り(？)の男の子が食いつくような料理を何品か作ってテーブルに並べた。





「できたよ。」


「えっ？もう？早くない？？Aちゃん天才？！」




トコトコと小走りで来て
キラキラした目で並べられた料理を見てる。




「わー！生姜焼き！！オムライス？！そしてハンバーグまで！！よっしゃー！！！」




ガッツポーズしてるけども。


･･･我に返るとなんという脈略のない料理並べてんだろ。



食べ合わせとか何も考えずに
無心で黙々と作ってたわ、



でもそんな私の自己嫌悪とは裏腹に
ものすごい食べっぷりのミツは
ただただ無言であっという間にそれらを平らげてしまった。




「ごちそうさま！マジで美味かった。Aちゃんって見かけによらず料理上手！！」


「一言余計だっつの。」





ほんと、この子は。

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