キミの襟足にキスがしたい

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「いない、」







太輔と別れて足早に帰ってきたのに
真っ暗な部屋に迎えられて若干パニック。



なんで？
ウチに帰ってんじゃなかったの？






「･･･どこ、行ったのよ･･･？」









･･･どうして？
太輔と一緒にいたとこ見たから、遠慮してくれたの？



私、まだ太輔と戻るって決めてないじゃん、
そんな気を使うとか、らしくなくない？




いや、そもそもウチ以外でも、行く所は山ほどあるのかもしれない。




もしかしたら、女の所、渡り歩いてたり
ミツなら出来るはず、なのに、ここにいてくれただけかもしれない。









あれ？




なんか、寂しすぎるんですけど。



他の女のとこ行くくらいならウチでよくない？



･･･いや、でも私なんてただ手料理を振る舞う事しかしてないし、そもそもよくよく考えるとミツはオスなわけで･･････



私、オスのミツの欲求なんて全然考えてなかったわけで･･･






「そりゃ、出てくか、だよね、だよ、」





なんだよ、出てくなら出てくって挨拶くらいしろよ、




キッチンへ向かい冷蔵庫を開けてビールを出す。



ごくごくと一気飲みして一息ついた。
飲まないとやってらんないことばっかりだよ･･･、





ん？でも、




突如思い返してバタバタと物置にしてる部屋へと走る。



クローゼットを開けて･･･







よ、良かった、ミツの服、ある･･･、



無駄にハイブランドばかりのニットやパンツがきちんとハンガーにかかっている。
その下にはビトンのバックが鎮座していて･･･




まさかこのバック置いてかないよね？



来た時が丸裸だったから
去る時も何もかも持たずに出て行ってしまうんじゃないだろうか、と心配になる。




とりあえず落ち着こうとリビングに戻ってビール缶片手にソファに座って･･･








･･････寒い。
この部屋ってこんな殺風景だったっけ？



ミツが笑顔で迎えてくれないと調子狂うよ、



･･････どこ行ったの？



いい加減携帯持って欲しい、







って、
ミツがどこで何をしようと私には関係のない事だし
いちいちミツの行動を把握しようなんて私、何様なんだよ。









「あ、Aちゃん飲んできたくせにまた飲んでる〜、」





ミツの声がして振り向く。





なんだよ、ちょっと嬉しいじゃん、





「生姜焼きは〜？」


「･･････今から作るよ、」




出そうになった涙をぐっと堪えて立ち上がった。

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