キミの襟足にキスがしたい

３０ ミツside ページ30

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「腹減ったからピザ取るけど、食べてってよ。」




俺の返事に納得したのか今日の玉は優しい。




「いい、作ってくれるって言ったから。」


「がっちり胃袋掴まれてんじゃんっ、何者よ、その子。やっぱミツを食いもんで釣ってるんだよ？」


「ちげーよ。俺が勝手にそうしたいんだって。」


「ほんっとにミツのこと知らないんだよね？」


「そうだよ。」


「実は知ってて餌付けされてるとかないよね？？」


「ふはっ、ねーけど、餌付けはされてんな、確実に。」


「やばいってそれぇー、」






玉が心配してる事なんてなんもねーから別にやばかねーよ。
何がやばいって、今後元の生活に戻った時にAちゃんとの時間がなくなるって事がやばい、俺にとっては耐えらんない



･･････って思っちゃってんのがやばい。




「あ、そういやさっき、マンションの下で綺麗な女の人見たんだー。」


「芸能人？」


「わかんない。でもドレス着ててメイクもバッチリで。結婚式とかかな？」






･･････Aちゃんじゃないの、それ？
でも、




「まあ、ここ芸能人ばっかだろうからもしかしたらその世界の子かもね。」




とか言ってみとく。





「やっぱり？俺そういうの疎いからな。」


「で？その子に恋しちゃった？玉は。」


「いや、そういう訳じゃないけど。撮影でもないのに綺麗な子見たらテンション上がんじゃん。」






わかるよ。
俺もダンボールの中から覗いた人がAちゃんで傷だらけの中テンション上がっちまったもんな。





「ってその女の人で頭いっぱいだったのにそれよりもデブミツがいたからびっくりしてつい忘れてたわ。」


「デブ言うな！ばかやろ、」






会ったんだ、玉。Aちゃんに。



しかし俺だけがAちゃんを綺麗だと思ってたのに
それが玉に知られちゃったってのがなんか悔しい。





今頃Aちゃん楽しんでるのかな。
声聞きたい。







「玉。スマホ奢って。」


「･･････その前に帰ったら自分のあんだろ？」


「いや。その前に奢れ」


「やだよ。」


「ケチか」


「面倒じゃん！俺だって忙しいの！」





俺だってAちゃんと連絡取りてーの！



嫌な思いしてないかな。
飲みすぎてないかな。
酔っ払ったAちゃんの相手役は俺なのに。



10時には帰ってくるよな。





「腹減ったー」


「ピザ食いなよっ」


「生姜焼き〜、」


「うざ･･･」




Aちゃんに会いたい。

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