キミの襟足にキスがしたい

２５ ページ25

・




それから毎晩ミツと夕食を食べ出して一週間になる。



ミツは初めて私のご飯を食べた時と同じ反応で
毎回大袈裟に喜んで食べてくれる。



私も、少しづつ、食生活が戻ってきて
普通に一人前の量を食べられるようになってきた。



食べられるようになると
やっぱり元気になるし、気持ちも明るくなる。



食べ終えたらお酒を飲みながら
ドラマや映画を録画しておいたものを見る。



勝手に私が見てるだけだけど
決まっていつもミツは隣りに座って付き合ってくれた。





「･･･ねぇ、恋愛ものとか俺よくわかんない。」





そう言いながらも、必ず一緒に見て、その後感想を言い合う。




「Aちゃんは恋愛ドラマしか見ないの？」


「そんな事ないよ。今やってるので面白いのがたまたまそうなだけで。サスペンスも刑事ものもコメディなんかも好きなのは見るよ。」


「･･････へぇ。」


「ミツは？ドラマ好きなのとかある？」


「俺、ほとんど見たことないんだよね。」


「そうなんだ。」


「でもこうして見てると結構面白いね。」


「でしょー？疲れて帰ってきた時の癒しなのよ。ドラマや映画見て、気分リフレッシュするの。」


「･･････へぇ。」


「好きな脚本家のドラマは絶対チェックするんだぁ、」


「へえ！」


「特に神崎アキトさんが大大大好き！なの。」


「へぇ。つか誰？」


「ふふっ、だよね、ドラマ見ないと知らないよね。最近脚本書いてないなぁ。神崎アキトのドラマ見たいなー。」


「そんなに面白いんだ？」


「うん。セリフとかいちいち胸に刺さるんだよ。でもお腹抱えて笑える所もあって。ストーリーもありきたりじゃなくて個性的で。なんかね、素敵なドラマ見たら明日から頑張ろーって思うんだ。」


「･･･へぇ。」






酔ってしまうと聞き上手なミツに話したい事話したいだけ話しててめちゃめちゃ楽しい。



だって、こんな話をするような友達も最近はいないし。



ミツには絶対興味のない話してるってわかるんだけど
饒舌になっちゃって翌朝少しだけ後悔したり･･･。






「ミツーっ、好きだよっ！可愛いかわいいカワイイっ、」






ついつい頭を撫でくりまわしちゃう。





「ははっ、Aちゃんがまた酔っ払ってるわぁー、」





むちゃくちゃな私でも、ミツは笑ってくれるんだ。

２６→←２４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す