キミの襟足にキスがしたい

１７ ページ17

・





セーフっ･･････




朝から全力疾走で疲れたっ、



とりあえずお茶、飲もう、



給湯室に行ってコーヒーを入れる。






「ふー、」





浴びるように日本酒を飲んで寝落ちして
その上抱き枕にされて寝てたおかげで体が痛いのに、気持ちがスッキリしていてなんだか気分がいい。







･･･ミツのおかげかな。



時には誰かに話しを聞いてもらうのっていいな。
って、ほとんど愚痴だった気がするけど･･･。



ミツも酔っ払ってたし、まあいいよね。



二人で過ごした昨晩が結構楽しかったな、
と少しニヤつきながらコーヒーを飲んでると
人の気配がして振り向いた。







「･･･おはよ、」


「おはよ･･･、」





太輔だ。



別れてからこうして二人になるのは初めてかもしれない。



･･･まだ、話し、できない、



しかも、私の事、ウザかったんだよね。



太輔の顔を見るとズキン･･･と胸が傷む。



ウザイ女は去りますよ、
太輔が入ってきたタイミングで私も出ようとしたらいきなり首元の方に顔を近づけて来た。



瞬間、私の大好きだった太輔の香水の香りがふんわりと私の鼻腔を刺激する。



罪だよ、その香りは。
楽しかった事、ドキドキした事、全部いい思い出しかないのに。





「なに？」


「･･････男、できた？」


「･･･なにそれ、」




それ、あなたが言う？
意味わかんなくてイラついて外に出ようとすると腕を掴まれた。




「･･････なんで今日すっぴんなの？」


「っ、太輔には関係ないじゃん、」




なんで･･･っ、
どうでもよくない？？
構わないで欲しい、なんなのっ、




コンタクトもする暇なくて
眼鏡姿ですっぴんで走りこんで出社してくるだらしない元カノの事なんて放っておいて欲しいっ、




いつまでも離してくれない手を振り払って自分の席に逃げた。



･･････バカにされてんのかな。



そういえば、付き合ってる時
私のすっぴんが好きだっていつも言ってくれてたな。



ズボラな私がずっとメイクして出社出来たのは
太輔が素顔を誰にも見せたくないって言ってたからだ。



･･････今も、そう思ってるって事？･･･なわけないし。





はぁーーー、




別れてからも私を振り回してくるとかやめて欲しい。



今、太輔が幸せならもう放っておいて欲しい、



でも、太輔は優しいから私に構いたくなるんだろうか。



そんな優しさ、いらないし惨めだ。

１８→←１６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す