キミの襟足にキスがしたい

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「･･････ちゅう、ダメ？」





私に張り手を食らって尻もちを付いてるのに
全く懲りてないみたいにきゅるるんな目で問いかけられる。





「ダメに決まってる！！調子乗らないの！」


「えええぇ？だって、こういう時は女の子はちゅうで慰めるもんだと思ってぇ、」


「どんっな慰め方よ？！それは相手があなたのこと好きな場合でしょ？？」





ったく！女をなんだと思ってんのよ？
見た目通り、女関係やっぱりゆるゆるなんだ。





「･･･Aちゃん、俺の事、嫌い？」


「っ、･･･嫌いじゃないけど、･･･そういう好きではな」
「嫌いじゃないんだ！！よっし！」




いや、前向き？



いや違う、そもそもミツだって私なんか相手にしないでしょうよ？





「じゃあ、これは？」




膝立ちで私の方に体を向けられた、
と思った瞬間、抱きしめられていた。




ふわっと香る、ミツの匂いと触り心地のいいニットに居心地の良さを感じてしまうから困ったものだ。




「･･･ど？」


「悪くない、けど。」


「でしょ？Aちゃん、いい匂い。」




それはあんたでしょ？って思うけど、





不思議。




ミツの事はよく知らないしもちろん好きではないけど･･･



変なの。心地いい。安心しちゃう。






「スキンシップって大事だと思わない？」


「･･･そりゃ、･･･好きな人となら、そう、かもしれないけど、」


「俺、Aちゃんの事好きだよ？」


「あんたの好きってハードル低いでしょ？」




きっと、その辺にいる女全員にそう言ってそうだし。



私をたぶらかして、なんの得に？
ミツの言動を勘ぐってしまうのは
そんなストレートに口説かれるはずがない、と思ってしまうのは、もう私が若くないからだ。





「恋愛の好きかはわかんないけど、でも、俺、Aちゃんが好き。」





体を離して至近距離でそう言われて
思わず苦笑いだ。



好き、は恋愛の好きだけじゃないもんね。




「そう。私もミツが好きだよ？」




何よりも眼福。
嫌なことは言わないし、抱きしめられるのも悪くない、いや、むしろ癒されるし。



泣きじゃくって取り乱す私に優しくしてくれる男の子を嫌いなわけないじゃない。

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