君のその手に ーspinoff ー 桐谷麗華の恋。【完結】

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それから彼との関係は曖昧に始まって
いつものように、泊まりに来る時
当たり前に求められるようになった。



玉ちゃんの事は、好きだけど。


彼氏にするのは違う。



それは年が離れてるっていうのもあったけど
やっぱり宏光を好きだった時ほどの恋はもう出来ないから。



そうじゃないなら、付き合うべきじゃない。



･･････って、散々抱かれといてそう思う私はやっぱり小賢しい。



何だかんだ、求められる事は嬉しいし
女になれる瞬間がある行為ははないよりは遥かにいい。



玉ちゃんは優しいし可愛い。



本人には絶対言えないけど、可愛くて従順なペットを飼っている気分によく似ていた。









そんな事を考えてたからかな、バチが当たったんだ。









元々不順だったものが来ない。








まさか？
もう私は出来ないんだと思ってた。
この年で妊娠だなんて･･･？





怖かった。
でも、どこかで喜びもある。




また、人生やり直すとしたら
出産で私自身も生まれ変われる気がした。




まだ確かめてもないのに
出来てるって確信があったから検査薬なんて使わずすぐに病院に行った。




「三ヶ月ですね。おめでとうございます。」




お腹に手を当てて、とにかくこの子を守るんだって強く思った。



玉ちゃんには･･････



言えない。



父親になって貰うなんて申し訳無さすぎるよ。



だって、私は玉ちゃんを愛してないんだから。









だから連絡があっても返せなくて
会いに来られたらもう会わないって言わなきゃって。



そう決めてたのに
いざ、ご立腹の玉ちゃんが家に来て、部屋に上げてしまえば涙が出てきそうになる。




「･･･どうしてシカトすんの？メールも未読だし電話も出ないし何かあったのかって心配したんだけど？」


「･･････もう会うのやめたい、」


「なんで？俺の事嫌になった？彼氏になりたいなんて一言も言わなかったじゃん、それでも嫌になった？」





そうだよ。
玉ちゃんが遠慮して体以上の関係を求めて来ない事、気付いてたよ。


気が付いてて、私はそれを良いように利用したんだよ？


こんな最低な女、見限ってくれていいのに･･･

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