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バタン、と重い扉が閉まった後で
乱れかけていた呼吸を一つ、整えた
胸に手をやると、どくどくと煩い
本当、何なの、あの人…
「あっ!」
すっかり忘れていた、大事な事を
この扉を開けたら居るはずだった人が居ない
まさかとは思うけど…あの人が…?
あかんなぁ、と動いた彼の口
耳に残る、心地の良い、響く低音
頭の中で、点と点が結びつく
私が出逢った魅力的な声は…
陣「Aちゃんっ!!」
「陣さん…?」
音がした後ろを振り返ると、息を切らせた陣さんが扉の向こうから顔を出していた
陣「ちゃんと着いたか見に来たらまだ居らんから、心配なって…そしたら壱馬がここにおるって
何してるん?どうしたん?」
眉を下げ、心配そうな表情を見せている陣さんに、好奇心に任せてここまで来たなんて言えない
「ごめんなさい…」
陣「謝らなくてええねんで!?」
更に困った顔になってしまった陣さん
陣「まあ、とにかく行こか…?
そろそろ開演するからな?」
なんて、優しいんだろう
「はい」
コクリと頷くと、安心した顔で笑った
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哲「あ、A!」
「哲也さん!」
哲「遅かったじゃん!」
「あー…」
陣「道に迷ってたみたいです」
哲「えー?俺が居なかったからだ〜」
「いえ、そういう訳では」
哲「そうって言ってよ!」
関係者席、と呼ばれる席へと案内される前の通路には、出番を控えた多くの人達が居て
慎「翔平さん、あの人誰ですか?」
翔平「おいまこつ。お前はあんな美人が
俺の知り合いかと思ってる訳?」
慎「いや…」
翔平「俺に聞くなし!」
慎「壱馬さん、知ってます?」
誰の事を話してるのか分からなかったけれど、その質問を投げかけられた人に反応してしまう
すると、バチっと目が合い、
彼は再び口角を小さく上げて
「…!」
壱「俺も知りたいなーと思ってた」
それは、周りの男の子へ向かって
投げられた言葉ではなく
紛れもなく、真っ直ぐに私へ向けられた言葉だった
哲「じゃあ、行ってくるからね〜」
「あ、はい!!頑張って下さい」
ニコリと笑った哲也さんに手を振り
ステージへと向かう彼らの背中を眺めた
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蘭(プロフ) - スーさん» 初コメントありがとうございます!この作品が大好きだと言って頂けたので、これからも頑張れそうです涙 そう言って頂けると自信がつきます!是非これからの展開も楽しみにして頂けたら嬉しいです(^^) (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - hkrさん» 何回も読み直して頂けているなんて…感激です…。長い文章を書いてしまっているため、読むのが大変だと思うので、尚更感激です…涙 これからも頑張りますので、是非楽しんで頂けたらと思います(^^)ありがとうございます! (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます!全て読んで頂けたなんて嬉しすぎます涙 楽しんで頂けているみたいで本当に嬉しいですし、これからも頑張りたいと思えます!是非これからも宜しくお願い致します(^^) (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
スー(プロフ) - 初コメントです!いつも、楽しくよませてもらってます!この作品大好きです!これからも頑張ってください! (2019年11月18日 7時) (レス) id: d70ff03ee4 (このIDを非表示/違反報告)
hkr(プロフ) - 更新ありがとうございます! 蘭さんの作品が好きで何回も読み直してしまいます(●´▽`●) これからも更新頑張ってください! いつも楽しみにまってます(´∀`)!! (2019年11月18日 4時) (レス) id: 6c0b67dbf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭 | 作成日時:2019年5月26日 22時