Nectar【川村壱馬】

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どことなく統一されたような衣装を身に纏った二人と、裏とされている通路を歩く









インカムを付けてコミニュケーションを取っているスタッフさん達は、パタパタと忙しそうに走り回りながらも、会釈を忘れず









その度に、礼儀正しく会釈を返す二人









健「お姉さんいくつ？若く見えるけど！」


陣「タメ口すなや！失礼やろ！」


健「歳下かもしれないな〜と思って」


陣「…おいくつですか？」









長い廊下を歩く二人の後ろに付いていると、そんなやり取りが目の前で行われる









恐る恐る向けられた視線と、委ねられた発言









「２２、です」









二つの視線に、反射的に
斜めがけのバッグの紐をぎゅっと握る









健「ほら〜歳下じゃないですか！！」


陣「ほ、ほんまやなぁ」


健「Aちゃんって呼んでもいーい？」


「お好きにどうぞ…」


健「やったー！」


「ちょっ…」









整ったハーフ顔の彼にパッと掴まれた手









陣「だから！哲也さんの…その…
…やねんから早よ離しなさい！！」


健「いてっ！」









私の手を包んだ両手がパチンッと叩かれる









「…あの」


陣「え？どうしました？」









ずっと勘違いされてるのは嫌だから…









進もうとした二人に後ろから声を掛けると
振り返って距離を詰められた









「私、ただ哲也さんのお仕事を拝見しに来ただけで……彼女とかじゃないですからね」









そう、ほんとのことを言うと








陣「え、そうなん！？ちょっと待って、
そしたらどういう関係…」


健「はーい健太やる気出ました〜」









視線を泳がせた陣さんと
ガッツポーズをして見せた健太さん









「関係…店員と、常連さんですかね」


健「何それ、めっちゃそそられる！」


「は…」









思わぬ返しに驚いた瞬間









スン、と爽やかな大人の香りが鼻腔をくすぐった









陣「お、壱馬やん」


壱「ん…？」









濃い目に引かれたアイラインは









強そうな男を演出して









イヤホンを外し、チラ、と無表情のまま向けられた視線に、どくんと心臓が鳴る









壱「…知り合いですか？」


健「哲也さんの店員さん！」


陣「健太その説明じゃ伝わらんやろ？」









ふ、と少し和らげて笑った表情を見て









あ、知りたいかも、だなんて









そんな風に思ってしまった頭を小さく振った



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