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「…はっ!」
ぼんやりとしていた視界がクリアになり、ガバッと身体を起こすと、頭に乗っていた手が離れる
………しまった
「ごめん、寝ちゃってたみたい…」
気持ち良さそうな寝顔を見ているうちに、気付けば自分も突っ伏して居眠りをしてしまうなんて
看病してるつもりだったのに、当の病人サイドは、身体をこちらに向けて横になっていた
壱「ええよ、ありがとうな」
額に乗せてあげた濡れタオルは、温かくなったのか、サイドテーブルに乗せられていた
彼はそれを指差してお礼を言う
「具合は?」
壱「だいぶ楽になった気がする」
「本当?良かった!」
壱「Aが居ったから、安心して眠れたし」
マスクで隠れて口元は見えないけれど、優しく笑った目が、緩やかな弧を描いた
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「私が居なくても、ちゃんと休んで下さいっ」
ドキドキがバレないように、肩のブランケットを壱馬の顔にバサッと被せると、おわ、と声を出す
顔を出した彼は、なぜか楽しそうに笑っていて
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壱「毎日隣に居ってくれたらええのに」
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と、そんな台詞を落とした
…病人のくせに、ドキドキさせるなんてずるい
「もう…」
壱「なぁ、腹減った」
「あ、おじや作ったよ」
壱「ほんまに?」
「温めてくるから待ってて」
よっしゃ、と小さくガッツポーズした壱馬の顔色は、眠る前より俄然良くなっている
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大人っぽい彼の弱った姿を見て、尚好きが増す
甘い台詞を大真面目に言うところも
気持ち良さそうにスヤスヤ眠るところも
まだまだ知らないところも含めて
声だけじゃなく、全部、好きだ
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壱「んまっ」
ふーふー冷ましながら、
温めたおじやを美味しそうに食べる
「もう薬飲んでも大丈夫だから、食べ終わったら薬飲んで、またゆっくり眠ったら治るよ」
早く治して、元気な姿を見せて欲しい
そんな風に思っていると、コト、と食器とお箸を置き、小さくお辞儀をした彼
壱「ありがとうな、ほんまに」
ううん、と首を振ると、謙虚やねんから…
と溢しつつ、再び箸をとった
そんな一瞬でさえも、好きだ、と言ってしまいたい
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蘭(プロフ) - スーさん» 初コメントありがとうございます!この作品が大好きだと言って頂けたので、これからも頑張れそうです涙 そう言って頂けると自信がつきます!是非これからの展開も楽しみにして頂けたら嬉しいです(^^) (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - hkrさん» 何回も読み直して頂けているなんて…感激です…。長い文章を書いてしまっているため、読むのが大変だと思うので、尚更感激です…涙 これからも頑張りますので、是非楽しんで頂けたらと思います(^^)ありがとうございます! (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます!全て読んで頂けたなんて嬉しすぎます涙 楽しんで頂けているみたいで本当に嬉しいですし、これからも頑張りたいと思えます!是非これからも宜しくお願い致します(^^) (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
スー(プロフ) - 初コメントです!いつも、楽しくよませてもらってます!この作品大好きです!これからも頑張ってください! (2019年11月18日 7時) (レス) id: d70ff03ee4 (このIDを非表示/違反報告)
hkr(プロフ) - 更新ありがとうございます! 蘭さんの作品が好きで何回も読み直してしまいます(●´▽`●) これからも更新頑張ってください! いつも楽しみにまってます(´∀`)!! (2019年11月18日 4時) (レス) id: 6c0b67dbf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭 | 作成日時:2019年5月26日 22時