20(壱馬side) ページ20
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壱馬side
北「でも凄いね、豆の味は大体分かるの?」
二個目のマドレーヌに手を付けた北人が言う
「まだまだ勉強中ですけど…マスターが一日の終わりに淹れてくれるおかげで、大体は」
マ「その珈琲に合った焼き菓子や、美味しそうな豆を買って来るっていうのは、彼女にしか頼めない仕事なんだ」
また調子いい事言うんだから…と謙遜する
マ「本当だよ?A以外雇わないからね」
北「凄く信頼されてるんですね、Aちゃんの事」
マ「勿論。大切な孫のような存在でね」
照れたように笑ったAが、羨ましくも思えた
自分にしか出来ない事、か…
「壱馬…?」
ハッとして顔を上げると、此方を見つめる彼女の姿
壱「ん?」
慌てて笑みを浮かべると
「なんだか、顔が暗かったから…」
と、心配そうに口にした
壱「ん、何もあらへんよ」
「そう?ならいいんだけど…」
そう言ってグラス拭きを再開させたA
小さな心境の変化に気付かれるとは思わず
ポーカーフェイスで、何考えてるか分からないとよく言われる俺にとっては、特別な存在だった
北「……あっ、壱馬そろそろ行かなきゃ」
壱「お、ほんまや」
気付けばあっという間に時は過ぎ
ボーカル三人での小さな反省会の時刻が迫っていた
壱「ご馳走様でした」
全然話せへんかった、と思いながらお代を出すと、寂しそうな表情を浮かべられたから
壱「携帯、持ってる?」
と聞くと、小動物のようにコクコクと頷いたから、それが可愛くてつい笑う
壱「今日、連絡してきて?待っとるから」
本当は俺からしたいんやけど…
まだ知らないから、ここは我慢
マスターに会釈をして、彼女からの連絡を待つ楽しみを抱え、北人と店を出た
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北「Aちゃんってさ
壱馬がこの間非常階段で抱き締めてた子でしょ」
壱「…見てたん?まぁ事故やけど」
そうなの?とふわふわした返答をした北人は、少し考えた後に、真剣な顔を見せる
北「好きなら、中途半端じゃダメだからね
芸能人が恋するってどういう事か
ちゃんと考えるんだよ?」
そう言われて染みるのは、自分の立場を考える程、彼女の事ばかりが思い浮かぶからで。
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蘭(プロフ) - スーさん» 初コメントありがとうございます!この作品が大好きだと言って頂けたので、これからも頑張れそうです涙 そう言って頂けると自信がつきます!是非これからの展開も楽しみにして頂けたら嬉しいです(^^) (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - hkrさん» 何回も読み直して頂けているなんて…感激です…。長い文章を書いてしまっているため、読むのが大変だと思うので、尚更感激です…涙 これからも頑張りますので、是非楽しんで頂けたらと思います(^^)ありがとうございます! (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます!全て読んで頂けたなんて嬉しすぎます涙 楽しんで頂けているみたいで本当に嬉しいですし、これからも頑張りたいと思えます!是非これからも宜しくお願い致します(^^) (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
スー(プロフ) - 初コメントです!いつも、楽しくよませてもらってます!この作品大好きです!これからも頑張ってください! (2019年11月18日 7時) (レス) id: d70ff03ee4 (このIDを非表示/違反報告)
hkr(プロフ) - 更新ありがとうございます! 蘭さんの作品が好きで何回も読み直してしまいます(●´▽`●) これからも更新頑張ってください! いつも楽しみにまってます(´∀`)!! (2019年11月18日 4時) (レス) id: 6c0b67dbf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭 | 作成日時:2019年5月26日 22時