19(壱馬side) ページ19
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壱馬side
北「えー?困ってる?」
「え、っと…」
此方にチラ、と目線を送られ、思わず笑ってしまう
壱「困ってんで笑」
初対面の人にもこうして自ら声を掛けられるのは、北人の飾らない良い所
北「でもなんか…どっかで見たことある」
「本当ですか?」
北「うん…あるんだよねぇ…」
うーん、と目を瞑り、首を傾げていると
マ「おお!来てくれたんだね!」
壱「こんにちは」
北「キャプテン!お疲れ様です!」
マ「ここではマスターだよ」
北「そうだった!」
チリンチリン、と聞こえた先を見ると、出先から帰ってきたマスターの姿
「お帰りなさい」
マ「ただいまA。付け合わせのマドレーヌに合いそうな、木苺のジャムを買ってきたよ」
「本当?素敵!」
カウンターから出てマスターの元へと駆け足で向かい、金の蓋が被された瓶を持つと
子供のようにキラキラと目を輝かせた
マ「今淹れるから、ゆっくりしてて」
娘を見守るようなニコニコした表情で言うマスターの一言に、はい、と頷いた
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マ「今日の一杯、マンデリンだよ」
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暫くすると、目の前に置かれた珈琲
北「いただきます…」
手に取り、喉へと一口流し込むと、
コクのある苦味が口一杯に広がった
壱「うま…」
北「けど苦い…」
口をへの字に曲げた北人を見ると、Aとマスターは顔を見合わせてクスリと笑った
「マドレーヌの後に、もう一度飲んでみて下さい」
北「う、うん……え、ん!?美味い!!」
驚きのあまり変な声を出した北人に釣られ
木苺のジャムが添えられたマドレーヌをかじり、もう一口喉へと流し込むと
壱「…!」
ほのかな優しい甘さがふわりと広がる
マ「Aがセレクトした豆だよ」
北「…天才、めっちゃ合う」
この優しい甘さを作り出した張本人がふふっと笑う
「どんなに苦い珈琲でも、甘くて美味しいお菓子と一緒なら、きっと皆、好きになると思います」
ドキ、と胸が鳴る
彼女の話す言葉の温かさと
三日月のように弧を描いた目で優しく笑うその姿に、再び心を奪われる
壱「…確かにな」
そんな顔見せたら、皆、好きになってまうよ…?
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蘭(プロフ) - スーさん» 初コメントありがとうございます!この作品が大好きだと言って頂けたので、これからも頑張れそうです涙 そう言って頂けると自信がつきます!是非これからの展開も楽しみにして頂けたら嬉しいです(^^) (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - hkrさん» 何回も読み直して頂けているなんて…感激です…。長い文章を書いてしまっているため、読むのが大変だと思うので、尚更感激です…涙 これからも頑張りますので、是非楽しんで頂けたらと思います(^^)ありがとうございます! (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます!全て読んで頂けたなんて嬉しすぎます涙 楽しんで頂けているみたいで本当に嬉しいですし、これからも頑張りたいと思えます!是非これからも宜しくお願い致します(^^) (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
スー(プロフ) - 初コメントです!いつも、楽しくよませてもらってます!この作品大好きです!これからも頑張ってください! (2019年11月18日 7時) (レス) id: d70ff03ee4 (このIDを非表示/違反報告)
hkr(プロフ) - 更新ありがとうございます! 蘭さんの作品が好きで何回も読み直してしまいます(●´▽`●) これからも更新頑張ってください! いつも楽しみにまってます(´∀`)!! (2019年11月18日 4時) (レス) id: 6c0b67dbf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭 | 作成日時:2019年5月26日 22時