237話 「みなまで言うな」 ページ44
あと数分かとあたりを付け乍らアクセルを踏み込んだ瞬間に無線に通信が入る。
「どうしました?」
「入間さん!動画が!!」
俺が反応するより早く左馬刻が端末を操作した。
開いたままだったので画面をつければさっきの動画再生ページが表示される。
音量を上げて若干こちらに傾けて端末を持つ左馬刻。
チラリと画面に一瞬目をやると、女たちを庇うように俺の部下と並んで立っている彼女。嘲るように笑っている。
『だせーって言ってんだよ。警察に潜り込まれて女相手に出し抜かれて、それで警察さんがいたからそいつのせいだって?とりあえずムカつくから警察さん虐めておこうとかクソ雑魚ナメクジにもほどがあんだろ塩でもかけてやろうか?』
「舐めた口叩くんじゃねえよ」
『いやいや、こんなクソアマの戯言にマジになってるお前なんなんだよ。寄ってたかって男が集まって、女一人が抑えるドアも蹴破れずに恥ずかしい事ですねえ。え?そうだろナメクジ共』
倉庫まであと二分ほどだろう。
更にアクセルを踏み込んだ。どう考えても不味い。
「あンの馬鹿……なんで煽ってやがるんだ!お前の入れ知恵か左馬刻ィ!!」
「なんでもかんでも俺様のせいにしてんじゃねえよボケ!!!つーか横の奴テメェの部下はポリ公だろうが何一般人に好き勝手やらせてんだアァン!!?」
「俺が知るかよ!!」
再び画面を見る。部下の一歩前に進み出てスタンスを広くとり、わざとらしく大声を出しますよという風体の彼女。
おいおいおい、何言うつもりだ。
『あーあー、テメェらホントに棒ついてるのか怪しいなあ!!あったとしてもポークビッツみたいな小さいのがぶら下がってるんだろうなあ!!女一人も吹っ飛ばせないなんてはっずかしいんだあ!!』
ダンッ!と左馬刻がドアを殴った。いや、分かる、分かるぞ左馬刻。
あいつどういう神経してるんだ!!!
どう考えてもブチ切れている一人の男が彼女に寄って行く。どうやらリーダー格のようだ。片手には煙草。
倉庫の駐車場に続く入口の前まで来たところでブレーキを踏み込んだ。チェーンが張って在り、車で進むことはできなさそうだ。舌打ちを漏らすと、同じタイミングで左馬刻が舌打ちをした。
「はっ、気が変わった。お前のツラで消してやる。その後全員でまわしてやるよ……泣いて喚いても知らねえ……オイ、動画回してんだろうな!!」
「当然だぜ!」
『ハッ、いい趣味』
男の手には煙草。
みなまで言われずとも、何を消そうとしているのか解る。
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レイ(プロフ) - 夢主ちゃんの反応がホントに面白いです。ちょくちょく入ってくる他作品ネタもニヤニヤしながら見ています( ̄▽ ̄)いつまでも待っているので自分のペースで頑張ってください!応援しています。 (2019年6月3日 18時) (レス) id: 9314b0693c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - 寝不足ハープさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです☆彡これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
寝不足ハープ(プロフ) - 続編おめでとうございます!毎回楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください! (2019年5月27日 2時) (レス) id: 69f8faa1c1 (このIDを非表示/違反報告)
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