226話 「本日のみお綺麗なんです」 ページ33
適当な雑貨屋さんに入って店の名前を左馬刻さんとのLINEに送った。
了解と来たからそのうち来るでしょう。ホント、マジでどこに行ったんだろ。
『なー、銀』
「キュ」
バッグを少し開けているので銀が返事をしてくれる。
スマホをいじりながら雑貨を見ながらという全て中途半端な感じで待っているわけだが……あ、この鏡オシャレだな。あ、グロス取れてる。塗りなおすか。
片手にスマホ、片手にグロス(さっき買ってもらったやつ。これだけ持っといた)を持ったところでドンっと背中に誰かにぶつかった。
『あっ、すみません』
「動くな」
『は?』
「騒ぐなよ」
少しだけ首を傾ければ背後には男。腰に何かを押し当てられた。視線を落とすと鈍色に光る物体……刃物かあ。刃物なあ。
化粧されていた時に見た光景って気のせいでもなんでもなかったんですね。
「買い物中悪いな。恨むならお綺麗な自分の顔を恨みな」
ぐりっと刃物をさらに押し当てられる。可愛いのは今日だけだし、なんなら恨むのはこんな顔面と格好にしやがった左馬刻さんである。解せねえ。
空気を読んだ銀が見えないようにバッグから脱出してスカートの中にもぐりこんだ。くすぐったいんですけどナイスです。このまま男をぶん殴って逃げるのは朝飯前だが、数刻前のアレを見てしまっている。左馬刻さんには悪いが、ここは捕まっておきましょうか。
下手に暴れて数多の可愛いおんにゃの子達が危険にさらされるのはいけない。絶対にいけない。
「さて、スマホと荷物はその場に置け。ほかの荷物もあるなら全て置け、いいな?」
兎は荷物に入りますか?
独断と偏見で入らないって事にしときますね。バッグを床の上に落とし、続いてゆっくりしゃがみながらグロスとスマホをバッグの中に両手で入れた。スマートにやるべきことをやって立ち上がる。
………さて、気づいてくれるといいけど。
「こっちだ。歩け」
『……はい』
銀が必死に捕まっているのがわかる。
ごめんよ相棒。もう少しそこで耐え忍んでくれ。
言われた雑貨屋に来たが、クソダボの姿が無い。
店内を回ってみるもやはりいなかった。
「クソ、どこ行きやがった」
スマホを取り出して呼び出しを掛ける。耳にスマホを押し当てた瞬間にレジの方から着信音。顔を向ければ「あっ」と言いつつこちらに視線を向ける女。レジカウンターにはあいつが持っていたバッグが置いてある。
「すみませんお客様。こちら落とし物でして」
『アァ?』
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レイ(プロフ) - 夢主ちゃんの反応がホントに面白いです。ちょくちょく入ってくる他作品ネタもニヤニヤしながら見ています( ̄▽ ̄)いつまでも待っているので自分のペースで頑張ってください!応援しています。 (2019年6月3日 18時) (レス) id: 9314b0693c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - 寝不足ハープさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです☆彡これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
寝不足ハープ(プロフ) - 続編おめでとうございます!毎回楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください! (2019年5月27日 2時) (レス) id: 69f8faa1c1 (このIDを非表示/違反報告)
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