220話 「困った時は右」 ページ27
「ん、じゃあそいつが着てたヤツ袋入れてやってくれ」
「畏まりました」
『………』
試着室に服と一緒に押し込められて……まあ逃げ場はないからね、とりあえず着てからカーテン開けたよね。そしたらさっきまで来ていた服を店員さんが持っていっちゃって、もう一人の店員さんが服についてるタグを全部ハサミで切って左馬刻さんとレジに行ってしまった。
『………なんでこうなってんの』
「お似合いですよ。こちらお洋服です。」
靴から何から全部変えられてしまったおかげで、袋が中々に大きい。
一つお辞儀をして離れた店員さんに俺も会釈して鏡に向き直る。
黒を基調にした膝下丈のワンピース。白で模様が入っているシンプルかつオシャレなものだ。形は胸の下あたりで切り返しがあり、パールが控えめについたベルトが巻かれている。
ラフすぎず、かといってカジュアルさもある服ではあるが、値段は全然アレだ、アレ。
………はぁ、ショッピングモールだってのになんでこんなゼロが多いタグ見てんだろって思ったもんね。やっぱ都会は舐めたらダメ。
『靴も絶対高いヤツじゃん……』
「そうでもねえよ」
『うっ……わぁびっくりした』
「行くぞ」
片手に持っていた服が入っている袋と逆の腕に引っ掛けていたリュックを攫われる。
歩き出した左馬刻さんを追っかける。先ほどまでスニーカーだったのにカツカツと足音を鳴らしてしまっているあたり遠い目をしてしまう。
「……意外だな」
『何がですか?』
「よろけたら笑ってやろうと思ってたんだが」
『え?……あ、ああ。こう見えて慣れてます』
パーティ会場なんて何度潜入して何度バカ高いヒールのまま大暴れすることになったか。少し肩からずれていた薄手の上着を整えて笑うと微妙な顔で「そうか」と返される。
俺のリュックに化粧品の紙袋、服の入った袋……左馬刻さんが大荷物になってしまっている。申し訳なさ過ぎて眉を下げると「言いたいことあるなら言いやがれ」と脅される。
『えっと……やっぱ荷物持ちますから』
「却下」
『自分のリュックくらい持ちます』
「あ?」
『えっと……スマホとかも入ってますし』
「………チッ」
返してくれそうな雰囲気になったと思えば急に回れ右した左馬刻さん。慌てて追っかければ……あ、バッグの店に入って行くじゃん。あ、その店俺でも知ってるブランドじゃん。ちょ、やめ。やめてお願いします。あああああああああああああ。
「こいつとこいつ、どっちがいい」
『……右で』
クラピカ理論。
221話 「耳に穴はちょっとタンマ」→←219話 「左馬刻様曰く、ステータス」
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レイ(プロフ) - 夢主ちゃんの反応がホントに面白いです。ちょくちょく入ってくる他作品ネタもニヤニヤしながら見ています( ̄▽ ̄)いつまでも待っているので自分のペースで頑張ってください!応援しています。 (2019年6月3日 18時) (レス) id: 9314b0693c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - 寝不足ハープさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです☆彡これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
寝不足ハープ(プロフ) - 続編おめでとうございます!毎回楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください! (2019年5月27日 2時) (レス) id: 69f8faa1c1 (このIDを非表示/違反報告)
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