217話 「口からぽろりと余計な一言」 ページ24
俺が「天の神様の言う通り」を言い終わる前に支払いが終わっていた。天の神様というか左馬刻様の言う通りでした。ぐぬん。
そして結局どっちになったのだろうと思っていたら「両方」というこれまた座りの悪い結果になってしまっている。いや、奢ってもらうのすら恐縮の極みなのに、二つ渡されかけている俺の気持ちを誰か述べよ。(完全回答五点)
『片方で、せめて片方でいいです!』
「バカ、俺様がこんなモン持って歩けるか」
『可愛いと思いますよ』
「そんなに沈みてえか?」
『ッ!!』
反射神経半端なさすぎだろって勢いでパシッと両手で口を覆った。やっべえまた余計な事言っちゃったおバカか俺の口は。しっかりしろふざけんな。お前のせいでお前ごと俺の体は海の底だぞ。沈められたらどう責任取ってくれるんだ。
口を押えたままフルフルと首を振ればチッと舌打ちを頂いた。どうやらセーフらしい。
なんで一番冗談言っちゃいけない人間に思わず出ちゃうんでしょうね。銃兎さんとかならまだ上手いとこ躱すかおちょくってくれそうなもんだが、この人の場合アウトだ。琴線に触れると即死。なのに出ちゃう。俺の口のおバカ。
「………おら。こっちでいいか?」
『え、あ……はい』
てっきり両方押し付けられると思っていたが左馬刻さんがずいっと渡してきたのは色が濃い方のカップ。カフェモカの方だろう。恐らく。想定外すぎて逆に普通に受け取ったわけだが……え?さっきまで沈められそうなくらいに嫌だったんですよね。どういう?
歩き出した左馬刻さんをまた慌てて追っかける。歩きながらストローに口を付ける。モグモグとまあるい粒を咀嚼しながら左馬刻さんを盗み見れば彼も同じようにストローに口を付けていた。
「………クッソ甘ぇな」
『だってミルクティーですし』
「あァ?」
『……死にます』
またかよお口さんよぉ。
いや、口を責める前に真っ青になりながら自害宣言である。なんだよタピオカが最後の晩餐かよ晩餐でもねえじゃねえか。
恐ろしくてタピオカのストローから視線を上げれないでいればグイっと肩に腕を回された。
「おーおー、そうだよなあ。ミルクティーだもんなあ、テメェが選んだんだし」
『え……え?』
「んじゃ、あとはテメェで始末しろや」
『あ……はいッス』
無理やりもう一つのカップも持たされる。言ってる言葉は恐ろしいが、その表情と声色が割と楽し気で、どこか嬉しそうだったから思わず受け取っちゃったよバーニー。
218話 「だってヤクザですしお寿司」→←216話 「たぴおかたぴおか」
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レイ(プロフ) - 夢主ちゃんの反応がホントに面白いです。ちょくちょく入ってくる他作品ネタもニヤニヤしながら見ています( ̄▽ ̄)いつまでも待っているので自分のペースで頑張ってください!応援しています。 (2019年6月3日 18時) (レス) id: 9314b0693c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - 寝不足ハープさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです☆彡これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
寝不足ハープ(プロフ) - 続編おめでとうございます!毎回楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください! (2019年5月27日 2時) (レス) id: 69f8faa1c1 (このIDを非表示/違反報告)
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