206話 「圧倒的フュージョン」 ページ13
その時、白く強い光が銀と蒼龍から発せられた。
あまりの光の強さに、遮るようにして腕を眼前にもってきて凌ごうとする。
数拍後には光が治まり、恐る恐る腕を外してみた。
が…………。
『え……銀?』
蒼龍の上にいたはずの銀がいない。蒼龍だけがベルトに差されている状態だ。
バッと隣にいた理鶯の方を見たが、彼も横に首を振っている。俺の肩にもいない。
キュッと心臓を締め付けられる感覚に襲われる。
どうしようもなくて、とにかく呼ぶしかできない。
『銀?………銀!!?』
「キュ?」
『はぁ!?』
なんぞ?とでも言うように返事が聞こえてきた。そちらにコンマ数秒で顔を向ければ不思議な顔をしてベルトにぶら下がってこっちを見ている銀。いやいやいや。
『お前どこにいたんだよ!!』
「キュ!キュウ!!」
『え?………あれ?つーか蒼龍はどこいった?』
銀の代わりに今度は蒼龍が消えた。
理鶯を見るが持ってはいない。
俺が首を傾げていると、銀が再び鳴いてベルトからジャンプした。相棒の身体が白い光に包まれて、木刀に変身しようとしている。
なぜかは知らないが取り落すほどアホでもない。いつものように変身した銀をキャッチする………あれ?いつもより重い……重い?
『………蒼龍じゃん』
俺は間違いなく変身した銀を手にしたはずだ。
筈なんだけど、今の俺が持っているのは蒼龍。抜いて見れば美しく光る刀身が現れた。納刀すると再び光に包まれて、俺の手の上には見慣れた相棒が残った。
『……もしかしてだけどさ』
「キュゥ」
『蒼龍=銀とか面白いことになった?』
「キュ!!」
『………なんだってぇ』
思わず頭を抱えた。
理鶯にその頭を労わるように撫でられたわけだが……頭痛がすごいんじゃないんですけどねえ。あ、でも頭は色んな意味で痛いからあながち間違ってない。
理鶯のキャンプ。
もうじき事の経緯を聞きに銃兎さんがやってくるらしいが、そんなことよりもこっちの謎をある程度どうにかしなければならない。
『銀……木刀にはなれるわけ?』
「キュ!」
『そ、そうか……じゃあ単純に変身形態が増えたって事でファイナルアンサー?』
「キュゥイ!」
『自慢げですね………体の不調は?』
フルフルと頭を横に振る銀。今のところ大丈夫そうだが、何かあればすぐに言うようにと釘を刺した。元気よく頷く相棒に笑みを溢す。やれやれ、とりあえずは一安心。
まあ、この世界で刀を腰に差して出歩くことはできないから好都合っちゃ好都合。
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レイ(プロフ) - 夢主ちゃんの反応がホントに面白いです。ちょくちょく入ってくる他作品ネタもニヤニヤしながら見ています( ̄▽ ̄)いつまでも待っているので自分のペースで頑張ってください!応援しています。 (2019年6月3日 18時) (レス) id: 9314b0693c (このIDを非表示/違反報告)
作戦隊長(プロフ) - 寝不足ハープさん» ありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです☆彡これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 17時) (レス) id: 9eca42e73b (このIDを非表示/違反報告)
寝不足ハープ(プロフ) - 続編おめでとうございます!毎回楽しく見させてもらってます。更新頑張ってください! (2019年5月27日 2時) (レス) id: 69f8faa1c1 (このIDを非表示/違反報告)
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