・.黒田官兵衛 ページ31
「お前、それを借りるならこれもだろう。」
「え?あ、そっか。」
隣同士で熱心に本を選ぶ十代二人。
この時代に本を読む人すら少ないのに、若いそれもカップルであるだろう子達が選んでいるなんて、なんて嬉しい光景だろう。
しかも女の子側は小さい頃からこの図書館を利用しているAちゃんだ。
いつも一人で来て可愛らしい女の子向けのジャンルを借りては、次の週に返しに来る。
私の中ではまだ小さかったのに、男の子と本を選ぶまでになるだなんて。
「あ、黒田君これ探してたやつじゃない?」
「ああ、これだ。よくやったな。」
本を差し出すAちゃん。よく見えないけど、きっと可愛らしいに違いない。
というかあの本、結構前の作者のじゃないか?なるほど、彼もAちゃんに負けず劣らずの読書家と見た。確かに今どきの若い子じゃ読書家の彼女とは話が合わないだろうな。
そんな事を思う横で黙々と本を選んでいく二人。うん、とても嬉しいよ。
「よし、決めた。」
「決まったか、じゃあ帰るか。」
やっと決まったのか本をいくつかカウンターに持って行く二人。
一体何の本を借りたのか気になってチラッと横目で確かめる。
え、なんで。いや、彼の方は大体想像が出来たよ?最初に探してた本があんな感じだったから。でもさ、でもAちゃんってそのジャンル借りてたっけ?
いつものファンタジーとかメルヘン調な本はどこにいったの?
まさかこれが彼の力なのか、本の趣味まで変えてしまうの?彼という存在は。
恋というものは、彼という存在は本の内容を理解するよりも難しいとつくづく思ってしまった。
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コッティ(プロフ) - 推しの回はそれぞれの中の人ですか?(笑) (2023年1月18日 0時) (レス) @page12 id: 4263074a64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤の花 | 作成日時:2022年12月16日 23時