太陽が1つ ページ16
"お姉ちゃん、ごめんね…。"
そう言って妹は涙を流しながら血溜まりで染まった部屋から走り去っていく。
「待って、真冬。止まって!!」
妹が遠くに行かないように必死に私は手を伸ばした。
しかし、その手が妹を掴むことはなく、空気だけを空虚に握り潰した。
「待って…待ってよ……!」
追いかけるうちに意識がどこか暗いところに堕ちていく。
ピピピピ、ピピピピ……
「……!?…………夢、か…。」
久々にこんな悪夢を見た。
呼吸は荒く、まだ指先が震えていた。
冷や汗で寝間着の浴衣の背が濡れている。
無意識に頬に伝っていた涙を浴衣の袖で拭った。
リアルすぎる夢に驚きつつも、時計を見ると、時計はもう8時をゆうに越えていた。
あぁ、起きないと。
そうは思うけれど、もう確実にみんな朝食を取るのに広間に集まっているだろう。
遅刻は確定だ。
諦めて焦らずに用意を始めた。
鏡に映る少し青ざめた自分の顔と睨めっこ。
妹の夢を見ると、いつも自然に出ている狐耳を見たくなくなった。
今日はしまって行こうかな。
耳と尻尾を魔法で隠し、黒い軍帽を被った。
いつも通り。
何も変わらない今日だ。
寝坊してしまった罪悪感を無視してで廊下を悠々と歩いていった。
今日は貴方に逢えますようにと心の隅で願いながら。
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メイドのもも(プロフ) - 桜花で更新します (2020年5月19日 9時) (レス) id: 3d1581623e (このIDを非表示/違反報告)
梨兎(プロフ) - 更新終わりました! (2019年12月19日 4時) (レス) id: f393b65561 (このIDを非表示/違反報告)
梨兎(プロフ) - 鈴ノ枝 海景で更新します! (2019年12月19日 4時) (レス) id: f393b65561 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月姫(プロフ) - 更新完了です! (2019年12月19日 3時) (レス) id: 876f512bd1 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月姫(プロフ) - 夜遅くにすみません!マグノリアとオーベロンの1話ずつ更新します! (2019年12月19日 2時) (レス) id: 876f512bd1 (このIDを非表示/違反報告)
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