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·若武side




「...な...んだよ、これ......」





目の前の光景に愕然とした。

見慣れた部屋の壁や床には " 真っ赤な華 " がたくさん咲いている。





「アーヤ...」





ぽつりと誰かが愛しい彼女の名前を呟いた気がした。





_______




朝、俺らはいつものようにアーヤを迎えに家に向かっていた。隣には上杉、黒木、小塚、美門、七鬼といつもの顔ぶれ。

何気ない雑談を交え、小突きあったりなんかしながら歩いていた。



...そう、本当にいつも通りだったんだ。


それなのに...





「...おい、あそこ、立花ん家だよな?」





怪訝そうな上杉の声に真っ直ぐ前を向くと、妙な人だかりが出来ていて、そこは確かにアーヤの家だった。


...何かあったのか?




思わず顔を見合わせて、走り出した。

どんどん近づく見慣れた家。



けれど、近づくにつれて嫌な予感がして、心がざわめく。




「...血の匂いがする。」




顔を強ばらせ、美門が呟いた言葉に俺らは言わずもがな足を速めた。

俺の予感はよく当たる。



けど...今だけは当たらないで欲しい......




___だが、そんな願いもすぐに散ることになる。





·




壁や床に咲く真っ赤な大輪。
そして、そこら中から漂う鉄の匂い。


美門でなくても鼻がひん曲がりそうだ。



けれど、そんな匂いも気にならないくらい、俺らはただ呆然とその場に立ち尽くした。



...アーヤ......





「酷い...熊かしら......」



「この辺りにはあまり出ないのにねぇ...」



「私たちも気をつけないと」





ヒソヒソと話す小さな声に俺はなんとも言えない怒りが込み上げてきた。

唇を噛み締め、ズンズンとそこで話していたおばさんたちに歩み寄る。





「なぁ...アーヤは......?祐樹さんは...?奈子ちゃんは...?みんなは、無事なんですか!?」





思わず声を荒らげ、問い詰めるように近所のおばさんに詰め寄る俺に慌てたように黒木が俺の肩を抑えた。





「落ち着け、若武!」



「落ち着けるわけ、ないだろッ!?どこなんだよ。どこにいんだよ!?無事なのか!?アーヤは!なぁ!!」





明らかに動揺している俺らを見て先程までヒソヒソと話していた人たちが少し決まりの悪そうな顔になる。と、それと同時にボロボロと泣き出し、崩れ落ちる人も。




「...みんな、死んでしまったわ。」




まるでお通夜のように静まり返ったその場でそれまでずっと口を閉じていた1人の女性が口を開いた。





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Lua - とても面白いです!はやく続きが読みたいです! (2021年9月13日 7時) (レス) id: 7cef825e60 (このIDを非表示/違反報告)
ピュア - とても面白いです!続き待ってます (2021年1月24日 8時) (レス) id: 75738b8618 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 奏さん» ありがとうございます!!更新遅めですが頑張ります! (2020年11月15日 19時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白いです。これからも更新頑張ってください。応援してます。 (2020年9月14日 17時) (レス) id: faad7bf9c4 (このIDを非表示/違反報告)
セダム(プロフ) - 紅楓さん» ありがとうございます!ちょこちょこ更新出来たらいいなと思っています。頑張ります!! (2020年8月30日 0時) (レス) id: 188dd23746 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セダム | 作成日時:2020年6月8日 23時

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