素直になれない。

花は、咲かない。 ページ48

【炭治郎side】







俺とAさんの手合わせが終わり
休憩に入った。






俺はAさんにずっと聞きたかったことを
聞いてみた。




炭「あの、なぜAさんは鬼殺隊に入隊し
たんですか？」




Aさんは俺を見て少し目を丸くしたが
すぐに表情は戻り




時透くんが善逸と伊之助を指導している所をみながら





A「...ほんとに小さい頃帰り道に鬼に
襲われる直前助けてくれた人がいた
の。その人がかっこよくて、憧れで、
かな。」





と、ぽつりと 淡く微笑んで言ってくれた。





目線は3人の方を見ているけど




瞳がうつしているのは、とても遠いものを
見ている感じがした。





炭「...Aさんは強いですね。
俺の攻撃がかすりもしなかった。
努力と経験の差、かなぁ。。。」



柱に手合わせしてもらえるのは貴重な体験だ。

俺は自分を守るのに精一杯で攻撃が出来なかった。

息をつく間もないほど攻撃がはやい。


何とか攻撃しても、ふわりとかわされた。




A「...炭治郎はもっと強くなる。柱の
世界に、来てね。｣




Aさんはふわりと 花が咲くように優しく笑ってくれた。




炭「...！はい!!」








─────Aさんは、不思議だ。




いくら嗅いでも


一切、感情の匂いがしない。


なにかに隠されているようだ。


だからどんな風に思っているのかがまるで分からない。









Aさんは時透くんの所に行き、何かを話した。




すると、時透くんも笑顔になって何かをAさんに言う。









─────フワッ









時透くんから、 恋 の匂いがした。









─────そう思った時。









ほんの、ほんの一瞬だけ、鼻先をかすめた匂いがあった。









一切感情の匂いがなかったAさんから...。









ほんの、ほんの少しの









切なさの混じった、 恋 の匂いがした。









...ああ、2人は、密かに 両想いなんだ。









...Aさんが俺に微笑んでくれて広がった 心の奥のあたたかさは








『両想い』と、理解した途端









そのまま痛すぎるものに変わってしまった。









炭「いたい、な。すごく、いたい。」









蕾は開かず...枯れてしまった。

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