白い薔薇の花言葉

＊ ページ7

ーRen.Nー


俺が平野先輩に初めて会ったのは、というか惚れたのは、入学式の次の日の朝。

電車通学で、朝は通勤ラッシュの時間帯。


もちろんどの車両も満員で、朝から憂鬱やったのは今でも覚えとる。いや、今でも憂鬱や。



乗ってる時間は15分くらいなんやけど、事件はそのときやった。


突然、尻辺りに違和感覚えたんよ。

俗に言う痴漢ってやつやな。

当時は、恐怖で言葉も出んかった。かと言って満員電車やから動くことも出来んくて、とにかく怖かった。

今でもたまにされる時はあるし、自分で対処できるようになってきたけど、本当にあの時は怖かった。

平野先輩が助けてくれたんよ。見ず知らずの俺に。

それこそ、ほんまにヒーローに見えた。



お礼したとき、

たまたま俺と同じ車両に乗ってて、同じ学校の制服の子が怯えてた顔したから助けた。それだけだよ。

って教えてくれて、先輩はうっすらと微笑んでて。

言ってることがイケメンなのに、顔もイケメンで、性格もバリイケメンで。


在り来りかもしれへんけど、このときやな。

平野先輩に恋に落ちたのは。



･



「……もうすぐ半年、か」

先輩を想い続けて半年。

いつ誰に取られてまうかわからへん。


誰か俺の知らんところで、知らん人の隣で誰かを愛おしそうに笑ってる平野先輩なんていやや。


…って思ったところで、やな。




･

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