いつもすれ違う ページ24
・
ゴロンとうつ伏せになって寝転んだ康ちゃんの足の上に跨る。
「はーい、お客さん。今日はどこを解しましょうか〜?」
「せやな〜、立ち仕事やから腰が痛いねんなぁ」
「じゃあ、腰を中心にさせてもらいますね〜」
マッサージ師と客を演じるのも昔から変わらん遊びの一環。
にしても相変わらず細いな。
「康ちゃんちゃんとご飯食べてるん?」
「…ん、食べてるよ。ん、なんで?」
腰を揉む度に漏れる甘い吐息。
男の癖に……
「細すぎやで。男ならもっと太りや」
「体質やから仕方ないわな。どれ、交代!」
ガバッと簡単に起き上がって、私を代わりに寝かせた康ちゃん。
なんという手際の良さ。
「んんっ!」
「…Aちゃん、君は少し肉付きがよくなりましたな?」
「殺す」
「ははは!冗談やて!女の子はこんくらいが好きやわ」
それはどういう意味や!と言おうとして、私の頭上にあった康ちゃんの携帯が鳴ったからそれを取ろうとして康ちゃんの体勢が崩れてしまう。
ドサッとうつ伏せの私の上に康ちゃんの体が覆い被さった。
「うっ、」
「わっ、すまんっ!」
ちょっと苦しいけど、やっぱり康ちゃん軽いわ。そこまで辛くなかった。
すぐに退くかと思ったら、康ちゃんは何を思ったか、
「ええ匂いするな…」
「こ、康ちゃん?」
まだ半分濡れた髪に鼻を寄せてクンクンって。
え、なになに?
ドキドキしてきた。
「………」
「………」
お互いに何も言わずに見つめ合う。
これって、そういうこと?
そこでまた携帯が鳴った。
今度はメッセージやなくて、電話の方で。
だからハッキリ見えたんよ。
彼女……て。
「……康ちゃん、彼女おったん?」
康ちゃんは昔から名前の隣に(彼女)てつける癖がある。
まさかこのタイミングで、もう一度それを確認することになるなんて思ってもみんかった。
嫉妬に歪んでいく顔を見られたくなくてベットにそのまま伏せた。
「なあ、彼女おんのに…私のこと泊めてええの?」
康ちゃんは彼女優先なんやろ?
「……せやから言うたやん。ホテル泊まれって」
ああ、そういうことか。
あの抵抗は、ほんまの抵抗やったわけね。
.
3693人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - 未憂さん» 未憂さま、ありがとうございます(o^^o)是非結婚してやってください(笑) (2020年12月5日 21時) (レス) id: 86c2a4761a (このIDを非表示/違反報告)
未憂(プロフ) - ふぁーーーーーーーーーー!!!!!(訳:最高です最高すぎました鈍感康二くん大好きです結婚してください) (2020年12月5日 1時) (レス) id: 0ef84b32c7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あやかぽん。さん» あやかぽん。さま、コメント有難うございます!ほんとですか!?私自身は彼主のお話読んだ事がなくて(おい!)、なので読んで下さった事が素直に嬉しいです!そして気に入ってもらえたようでそれも嬉しいです!有難うございました!これからも頑張ろうと思います! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - うさのすけさん» うさのすけさま、コメント有難うございます!この方今までの誰より周りに助けてもらいました(笑)私自身も皆さんに支えてもらい完結させる事もでき本当に感謝です。またキュンをお届けできるように頑張りたいと思ってます(^^) (2020年11月29日 10時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あまとうさん» あまとうさま、コメント有難うございます!お心遣いもとても嬉しいです。シリーズの繋がりには力を入れていたので褒めてもらえて嬉しい(^^)今は前向きな気持ちで考えてますので、気長に待っていただけたらなと思います! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年11月8日 1時