命にキスを 〜アウトローな未来のお話〜

四十五 ページ45

いや、今日のオリビアは先日とは違って大人しかった。寡黙で時々相槌を打つくらいだったかもしれない。プードルは足元で耳を澄ませ、心配そうな瞳を浮かべている。


　角質をとる事によって、必要な場所に自然な皮膚を当てる事が出来る。腕、足、太もも、お腹と言った具合に。




「オリビア。本当の事を言ったらどうなんだ」ようやく切り出せた。




　オリビアと初めて会った平明な記憶。平常心を持たずにずっときょろきょろしていた。

　ここ、マサチューセッツ州はアメリカの一番西にあると言ってもよく、彼女が口にした「カリフォルニア州」はアメリカの一番東にあると言ってもいい。

　息子に会いに途中経路のコロラドやイリノイで一泊して、そのついでに自分の皮膚なんかを作るという感覚。俺にはよく分からなかった。


「肌を移植したいのなんて全部に決まってるじゃない！


　旦那が……若い子と不倫してるのよ！ 息子の事が凄く大事なの、だから離婚なんかしたくないの。一人っ子の息子の事は今まですごく大事にしてきた。でも私を遠ざけるように遠い大学に行ってしまって、バッドフレンドと一緒にいるのよ！


　私はどうしたらいいの！」


　この前と違うヒステリック。沈痛な面持ちのオリビアをキャロルは背中をさすって慰める。眼鏡をとってティッシュをあてがい、ひんひんと泣き出す。


「大丈夫よ、泣かないで」
「オリビア。上手くいかない事を嘆かなくていい。人生、そんなもんだから――」

♡

　夜になって泣き止んだオリビアが帰る。キャロルはオリビアの気持ちを全て聞き、オリビアはそのままで綺麗でアメリカで一番良い女性だと褒めた。

　肌の売買はなく、若返りのサンプルを一ヵ月分引き渡す事に決めた。わざわざ肌を切る必要はないとキャロルがストップをかけたのだ。



　玄関のライトをつけ、カリフォルニア州への長旅を見送った。キャロルとオリビアは女独特のハグをして、俺はオリビアの肩をぽんぽんと叩く。


「オリビア。今日は何処のホテルまで？」
「そうね。雄大な五大湖が見えるペンシルべニアのストックスまで行こうかしら」
「それはいいわね。ストックスなら良いホテルがとれると思うわ」

四十六→←四十四

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーナンバー

8

ラッキーアルファベット

X

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す