二十四 ページ24
ロバートにも「一度会って話しをしろ」と言われていたし、クリスマスに休暇を貰えたから行くことにした。あの時の事件はもう冷めただろうし――。
俺はあの頃と同じように街灯に照らされた石畳を歩き、紫色の植物が生えた庭が見える長い長い道を歩いた。吐いた息は白かった。此処は昔のまま変わっていない。俺が家出をしていったきり、全てが。
頭の中ではあの時の記憶が少しずつ蘇っていた。一緒にカルボナーラを食べたこと。恋愛映画を見たこと。海で駆けっこをしたこと。星空を見に行ったこと。シャロンの笑顔。シャロンが話してくれたこと。シャロンにしてやったこと。シャロンに悪戯したこと。キスしたこと――。たくさん、たくさんの思い出があった。
自分の家の前に立ち、深く深呼吸をする。冷たい表情を見せる御屋敷を見上げ、また白い息を吐いた。怖くても、行きたくなくても、震えが止まらなくても、ちゃんと過去の自分に戻って事を解決させなくては。俺の時間は止まったままになってしまう。
玄関に通じるまでの一本道を行った。うっすらと心に現れた恐怖という感情がちらつく。それを俺の無意識は懐かしいという感情で消そうとしていた。
茶色くてびくともしない大扉を見詰め、ベルを鳴らす。
数秒後に、ぼさぼさの髪の毛を垂らし、ストールを巻いた顔色の悪い義母が扉を開けた。
「ああ、ジェームズ。お入り。いつ帰ってくるかと心配していたんだよ」
その張りのない声に冷たさを覚えながらも、接客室に入っていく義母の後をためらいなく追った。まるで死人のようなオーラを漂わせている義母を気持ち悪く思った。
緑壁が印象的な接客室では、俺の行動を見かねたような光景があった。義父がソファに腰をかけ、テーブルには三人分のコーヒーカップ。その中には湯気のたつブラックコーヒーが入っている。
「甘い物でもとってくるわね」
義母は黒のストールを胸元にぎゅっとよせて妖艶に微笑んだ後、奥にあるキッチンへ行ってしまった。
「よく帰ったな。ジェームズ」
「親父」
「出来の悪いお前に朗報がある。母さんが戻ったらお前に聞かせよう」
「朗報かどうかは俺は決める。と言っても、父さんが俺をどう思ってるかを聞くだけで、そんなこと分かると思うけど」
「生意気な口をきくな」
俺は義父と向かい側のソファに座り、コーヒーをすすった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
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レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 椋香さん» 毎度、暖かい目でみて頂いて感謝しております。ロバート&キャロルシリーズは、キャラ設定の割にハードボイルドなお話なんですよね。かみ合わない所が俺的にはツボですが(苦笑) 椋香先生はこういう系が好みなのかな? また機会があれば楽しく書きたいです! (2015年6月7日 20時) (レス) id: e81dc0df4c (このIDを非表示/違反報告)
椋香(プロフ) - 読了しました〜。言われてしまうと、裏設定書き込んでほしくなります…。今回も楽しく読ませていただきました♪またこのジャンルにも挑戦してみてください!こんな未来にならないことを祈りつつ…。 (2015年6月7日 16時) (携帯から) (レス) id: 79a496978a (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - ふたまさん» 感想ありがとうごうごさいます(*´∀`) このお話は書き始める前から仕込んでいたネタだったので、そう言っていただけると嬉しいです。これからも頑張って書き続けます。ありがとうございました♪ヽ(´▽`)/ (2014年11月5日 22時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
ふたま(プロフ) - イベント参加ありがとうございます!話が深くて超面白かったです…!書き方がお上手で憧れます(/∀\*)これからも頑張ってくださいね! (2014年11月5日 20時) (レス) id: fd0c711392 (このIDを非表示/違反報告)
ナンシー・ハジェンズ(プロフ) - 感想ありがとうございます!(*^^*) 改行は縦書きはなしで、横書きは幾つか入れた方がいいそうです。改行ない方が正しいと思っていて、この作品は入れなかったのですが、最近知って修正しました。描写についてはまだ改善案があると思うのでがんばります(><) (2014年7月24日 12時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナンシー・ハジェンズ | 作者ホームページ:
作成日時:2013年9月14日 23時