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【第四章】 二十二 ジェームズ視点 【過去編】 ページ22

頬を膨らませたり、舌を出したり、左右の足を動かしたりしていた。何故かは分からない。分からないが、そうしなければ耐えられない気がした。

「私の気持ち、本当に理解してる? どうしてそんな無謀なことをやるの? いつだってそうよ、遊び半分で銃なんか使ったりするし、必要以上にきついお酒を飲んだり、通っていけそうもない道をポンコツ車で走るし、赤信号には平気でつっこんで行くんだし――」

 キャロルは泣きながら話していた。

「自分の命の大切さを理解してないのよ、いつも」
「キャロル」
「貴方には私がいる。私には貴方が必要なの」
「キャロル。命は兵器じゃない。利用するものでもない」俺はキャロルの頭を撫でた。「だけど依頼者の要望に応えるのが俺達の仕事だ」
「もううんざりよ」
「俺にもキャロルが必要だ。大丈夫、心配かけないようにやるから」

 俺はキャロルに顔を近づけ、首筋にキスをした。キャロルの頬には涙が流れていて、目元が真っ赤だった。途切れ途切れの息遣い。ぎゅっと握りしめている拳。下にカーブした唇。

 キャロルの泣いている姿はこの世で一番嫌いなものだ。子宮がなくなった時と何処か重なってしまうのだ――。

 二階に足を運び、リビングから去った。


 ジェームズは深く溜息をついてどすりと椅子に腰を降ろした。作戦が失敗した。ビアンカは伏目になってご馳走に目もくれていなかった。ふたりはいかにも雨が降りそうな曇り顔をして並んでいた。これからどうすれば良いんだ。何故こうなってしまったんだと、後悔していそうな顔だった。
 皆同じことを思っているだろう。不幸だという文字を揃いも揃って。
 俺に死ぬという失敗は許されていなくて、泣き叫んでいるキャロルは俺を心配し、むごく、酷な状況に追い詰められ、ジェームズとビアンカは――。



 俺の名前はジェームズ・バンクス。二ューヨークにある犯罪組織バンクス家の息子だと名乗っているが、本当は養子だ。エリー湖の近くにあるアワイアント児童養護施設出身で、何処の馬の骨かも分かっていない。バンクス家ではバンクス家傘下の小さな犯罪組織のリーダーを幾つか任されていた。十七歳になりかけのあの日までは。
 あの日、ガールフレンドのシャロンを親に紹介しようとして家に向かっていた。シャロンとはナンパで知り合い、青いドレスの似合うアメリカ育ちのフランス人で、ファッションデザイナーを目指していた。

二十三→←二十一


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設定タグ:シリアス・ローファンタジー , アメリカ外国・海外小説・男主 , SF   
作品ジャンル:純文学, オリジナル作品
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レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 椋香さん» 毎度、暖かい目でみて頂いて感謝しております。ロバート&キャロルシリーズは、キャラ設定の割にハードボイルドなお話なんですよね。かみ合わない所が俺的にはツボですが(苦笑) 椋香先生はこういう系が好みなのかな? また機会があれば楽しく書きたいです! (2015年6月7日 20時) (レス) id: e81dc0df4c (このIDを非表示/違反報告)
椋香(プロフ) - 読了しました〜。言われてしまうと、裏設定書き込んでほしくなります…。今回も楽しく読ませていただきました♪またこのジャンルにも挑戦してみてください!こんな未来にならないことを祈りつつ…。 (2015年6月7日 16時) (携帯から) (レス) id: 79a496978a (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - ふたまさん» 感想ありがとうごうごさいます(*´∀`) このお話は書き始める前から仕込んでいたネタだったので、そう言っていただけると嬉しいです。これからも頑張って書き続けます。ありがとうございました♪ヽ(´▽`)/ (2014年11月5日 22時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
ふたま(プロフ) - イベント参加ありがとうございます!話が深くて超面白かったです…!書き方がお上手で憧れます(/∀\*)これからも頑張ってくださいね! (2014年11月5日 20時) (レス) id: fd0c711392 (このIDを非表示/違反報告)
ナンシー・ハジェンズ(プロフ) - 感想ありがとうございます!(*^^*) 改行は縦書きはなしで、横書きは幾つか入れた方がいいそうです。改行ない方が正しいと思っていて、この作品は入れなかったのですが、最近知って修正しました。描写についてはまだ改善案があると思うのでがんばります(><) (2014年7月24日 12時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナンシー・ハジェンズ | 作者ホームページ:   
作成日時:2013年9月14日 23時

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