命にキスを 〜アウトローな未来のお話〜

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プレゼントされたクッキーを一緒に食べながらそれぞれの恋愛観の話をした。やはりピアはお金持ちだった頃は嫌と言うほど男に付きまとわれていたらしい。あらかじめ仕込んでおいたネタをピアにしてやると目をキラキラさせて喰いついてきた。

　ピアにより好感度を上げてもらうために話を幾つか合わせたり平気で嘘を吐きまくった。どんな女性よりも魅力的だと目を合わせて言った。いつものことだ。初めてじゃない。

　だが、肝心のキャロルには生まれて一度も言ったことのない言葉だった。
　キャロルにはそんな言葉を言いたいと思うほど言葉につまってしまう。

　十七歳の時に結婚して、約八年が経つ。この八年の間に俺はキャロルにどんな言葉を送ってきたのだろう。俺はこの心のもやもやの晴らし方が分からなかった。


　ピアに両手を握られるという、良い雰囲気になったところでベッドに行こうと切り出した。返事は勿論YES。能天気なお嬢様をベッドに誘うのは懐中電灯をつけてカナブンを呼び込むことより簡単だ。

　時計は九時二十五分を回ったところだ。そろそろ急がなければならない。そろそろ警察が見回りをする時間でもあるし、車で待っているキャロルを長い間待たせておく訳にも行かない。クリスマスだから特に、だ。

　ピアと二階のベッドルームに行った。仕事上よくあることだ。二十分ほど経つと携帯が震え、ピアに画面が見えないようにキャロルが送ってくれた空メールを見た。

「ごめん。仕事だ」
「うそぉ？」

　俺は素早く服を着て、一言断ってから部屋を出た。もう二度とピアに会うことはないだろう。それと、いくつかの細胞(サンプル)を入手出来た。これがここに来た目的でもある。これを使って人工的に人間を作るのだ。先日、ピアの両親から生屋としての依頼を引き受けていた。彼等は‘ピア本人’が好きなのではなく幼かった頃のピアを愛していたのだ。

　余生を使い、愛した娘ともう一度暮したいのだと懇願された。その気持ちは分からなくはない。こんな依頼も八割に登り、俺も手馴れてきていた。

　時計が五十分近くになり、キャロルの待つ車に急いだ。クリスマスの御飾りに目もくれず、ポケットに手を突っ込んだまま走った。凹みの多い車が見えてきた。深緑色をしたポンコツ車の助手席で新聞を広げている人物が、先ほどから名前を出している俺のパートナーだ。

四→←二

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
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