命にキスを 〜アウトローな未来のお話〜

十九　我儘おばさん、オリビア・グジーデナムズ登場 ページ19

「ところで貴方のお名前は？」
「オリビア・グジーデナムズ。今はカリフォルニア州に住んでるわ」
　部屋を落ち着かない様子で見渡していたオリビアが正面を向き、俺と目があった。失礼かもしれないが、俺は余計に逃げ腰になった。カウチの方にずっしりと体重をかける。

　一方、俺と目があったオリビアはただでさえ“ずっしり”と座っていなかったのに足に力を入れて尻が浮かぶようにしていた。ソファの沈みが小さくなっていた。

「オリビアさん。情報は守秘義務なので関係者以外には絶対に誰にも言いません。まずは此方の契約書にサインしていただけますか？」

ジェームズはファイルから契約書を取り出した。オリビアはプードルを胸元にぎゅっと抱きかかえ、吹っ切れたようにその場に立ち上がった。ポケットからチャック付きの小さいポリ袋を取り出した。それを机の上に叩きつけ、

「三週間後にまた来るから新しい皮膚を作っておいて!!」
　俺とジェームズはぽかんとしたまま、置いて行ったポリ袋の中身を恐る恐る見た。一人分の白い爪と長い髪の毛が二本入っていた。俺達はそれを見てぎょっとした。

　それ以来、このクリスマスに客はこなかった。ふたりで卓球をしたりダーツをしたり、ホラー映画を見たりして時間を過ごした。勿論、カプセルの未完成生物の栄養分もやりに行った。栄養分はゼリー状で緑色をしており、非常に吸収しやすいものになっている。

夕食が近くなり、俺達はソファで寝るのをやめてきちんと座り直した。

「なぁ、ロバート。お前女共を驚かしてみないか？ 俺と一緒に」
「勘弁。俺はクリスマスまでキャロルの癪に障るようなことはしたくないんでね」
「いや、違うんだ。今日はクリスマスで、ご馳走をまた食べるだろ？ 一緒に作ろうぜ」
「パスだな。料理は女共に任せるのが一番だ」
「そう言うなって。どうせキャロルさんと喧嘩でもしたんだろ」

俺はテーブルにあったオレンジをジェームズに投げつけた。
「いって！」
「知ってんだったら大人しくしてろよな!!」

「喧嘩したお前が悪いんだろうが！ どうせ羊と人間の赤ん坊を引き取るか引き取らないかで喧嘩になったんだろ。ニュース見た」

　林檎を投げつけた。

「いって！」
「なおさら黙ってろよ！ 料理を作ったところでキャロルの軽蔑は変わりもしねぇよ」
「変わるか変わらないかじゃねぇ。お前の態度がどうあるかだよ」

二十→←【第三章】　十八　人は幸せを目指して生きているが、苦しいことばかりで

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーナンバー

8

ラッキーアルファベット

X

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す