十四 ページ14
俺は撹拌棒をキャロルに向け、そう言って目線を逸らした。キャロルのグリーンアイは俺を鋭く睨んでいた。席を外し、仕事場の出入り口に足を運んだ。
「私はあの子を実験台として扱わない。死なせたりもしない」
「あの子の幸福は生きることじゃないかもしれない」
「生きてちゃいけない命なんてない。傷つけて良い命なんかない!」
「俺もそう思ってる。だが、あの子の命は大人の手にゆだねられてるのが現実だ。そんな論理は今は消え失せてる」
「社会を変えてやる」
「すまんが俺は反対派だ。あの子を引き取りもしないし、育てもしない」
「じゃあ死んでも良いわけ?」
「そうは言ってないだろ」
「言ってるわ」俺は足の方向を変えた。
「俺はただ、あの命がこれからどう生きていくかが問題で、難しいかを言ってるんだ」
「あの子にもきっと幸せはあるはずよ」俺はキャロルの前で立ち止まって、怒り狂い思い上がった目を向けた。
「もし細胞が壊死せずに生きられたとしても、差別されるに決まってる。人間の間でも差別が起こってるんだからなおさらだ」
キャロルは顔を歪ませて、軽蔑と戸惑いが混じった表情をした。
「確かに、ちゃんとした人間として見てくれる人はいないかもしれない」
「人間? 人間かな、どうかな。羊として扱われて牧場に行く」言葉を続けられることなく、右頬にビンタをくらった。
「さいってー」
キャロルは泣き出しそうになっていた。
俺は顔を遠ざけ、震える心を持ちながら仕事場から出てった。キャロルのすすり泣く声が耳に入ってきていた。
どうして、引き取らないなんて言ってしまったのだろう。キャロルと口喧嘩をして、ついカッとなってしまった。愛する人を傷つけ、そして泣かせてしまった。
テレビ、ソファ、テーブルクロスのひかれた食事用テーブル、観葉植物、依頼者と話す小さなテーブルのあるリビングに入った。俺はソファの上でごろりと横になった。
頭の中は後悔と邪険が渦巻き、奇異なものになっていた。複雑な感情だ。
俺の言葉はキャロルをどれだけ傷つけたのだろう。キャロルのように希望がある話を信じれなくなった。
く本当にあの子はこの世で生きれるのだろうか。身体的にも精神的にも。疑問、疑問。
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レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 椋香さん» 毎度、暖かい目でみて頂いて感謝しております。ロバート&キャロルシリーズは、キャラ設定の割にハードボイルドなお話なんですよね。かみ合わない所が俺的にはツボですが(苦笑) 椋香先生はこういう系が好みなのかな? また機会があれば楽しく書きたいです! (2015年6月7日 20時) (レス) id: e81dc0df4c (このIDを非表示/違反報告)
椋香(プロフ) - 読了しました〜。言われてしまうと、裏設定書き込んでほしくなります…。今回も楽しく読ませていただきました♪またこのジャンルにも挑戦してみてください!こんな未来にならないことを祈りつつ…。 (2015年6月7日 16時) (携帯から) (レス) id: 79a496978a (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - ふたまさん» 感想ありがとうごうごさいます(*´∀`) このお話は書き始める前から仕込んでいたネタだったので、そう言っていただけると嬉しいです。これからも頑張って書き続けます。ありがとうございました♪ヽ(´▽`)/ (2014年11月5日 22時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
ふたま(プロフ) - イベント参加ありがとうございます!話が深くて超面白かったです…!書き方がお上手で憧れます(/∀\*)これからも頑張ってくださいね! (2014年11月5日 20時) (レス) id: fd0c711392 (このIDを非表示/違反報告)
ナンシー・ハジェンズ(プロフ) - 感想ありがとうございます!(*^^*) 改行は縦書きはなしで、横書きは幾つか入れた方がいいそうです。改行ない方が正しいと思っていて、この作品は入れなかったのですが、最近知って修正しました。描写についてはまだ改善案があると思うのでがんばります(><) (2014年7月24日 12時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナンシー・ハジェンズ | 作者ホームページ:
作成日時:2013年9月14日 23時