検索窓
今日:15 hit、昨日:6 hit、合計:348,852 hit

2話 ページ2

ストーカーさんが現れなくなって数ヶ月経った
日のことだった。


私の働く小さなスーパーは
それなりに時給も良かったし、
私1人分なら余裕で稼げてたから
もう8年くらいそこで働いていた。


そんなある日
経営が難しくなってきていることに気付いた

配送されてくる野菜やお肉の量が
どんどん減っていき、お客さんもそれなりに
来ていたのに、今ではガランガラン。


きっと、すぐ近くに出来た大きなスーパーが
原因なんだろうな。


そろそろ潮時か。


「Aちゃん、このスーパーはもう駄目だ
長い間ここで働いてくれてありがとう。
もっと時給が高くて、安定出来る所で
働きなさい」


なんて思った矢先に、店長からそう言われた。

柔らかい笑顔に、目の奥が熱くなったが
ぐっと堪えて、お世話になりましたと
頭を下げた。



今月いっぱいであのスーパーは閉まる。
それまで私は働くけど、それからどうしよう。

今月いっぱいと言ってもあと1週間と3日。

帰り道にコンビニに寄って、求人誌を1冊
持ち帰る。ついでにおにぎりを買ってみた。


「ん〜…1週間か…微妙だなぁ」


求人誌を鞄にしまい、おにぎりの袋を
破りながら、帰路につく。


「ん〜…」


おにぎりを口に運ぼうとした時、懐かしい音
すぐ後ろで、遅れて聞こえる靴の音。


久し振りだね
なんて、本当に呑気な事を考えながら
止めていた手を動かして、おにぎりを口に運ぶ

味付け海苔がパリッといい音をたてる。


「んま…」


もうすぐで、いつもストーカーさんが
引き返す所。ストーカーなんだから家まで
来ればいいのになんて不吉な事を思う。


「あと1週間で職なんて見つかるのかなぁ…」


ふとまた浮かび上がった不安。
そんな一言が聞こえたのかストーカーさんの
足音が止んで、私と、反対方向に足音が
消えていく。


まだ引き返す所じゃないのに。


「変なの」



そんな私の呟きは
冷たい空気に、溶け込んでいった。

3話→←1話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (268 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
643人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- アイドルだけど夢主に惚れちゃって誘拐したって事でいんですか? (2018年2月25日 13時) (レス) id: 0efc3643a8 (このIDを非表示/違反報告)
きりの あきな(プロフ) - ひょなさん» ありがとうございます!頑張ります! (2018年2月23日 16時) (レス) id: e6509d9367 (このIDを非表示/違反報告)
ひょな(プロフ) - はじめまして!!濱ちゃんがかっこよすぎます!!応援してます! (2018年2月23日 16時) (レス) id: d96fa57cf6 (このIDを非表示/違反報告)
きりの あきな(プロフ) - なーさん» ありがとうございます(*^^*)そう言って頂けて嬉しい限りです!頑張りますっ (2018年2月22日 22時) (レス) id: e6509d9367 (このIDを非表示/違反報告)
なー - はじめまして!とても面白くて一気読みしてしまいました!応援しています! (2018年2月22日 21時) (レス) id: 7f3bb28f71 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きりの あきな | 作成日時:2018年2月19日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。