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Aがベットのそばに膝を突いた次の瞬間、途轍もない速さでイデアの腕が伸びてきて、彼女の華奢な体をベッドの中へと引きずり込まれてしまった。
そのままぎゅうっと抱き締められたと思えば、肩口にぐりぐりと額を押し付けられる。
恥ずかしがり屋で消極的なイデアが無言でスキンシップをとり、甘えてくる時はかなり参っている場合であることをAは知っていた。
｢陽キャに囲まれた……しんどかった……もう僕ムリ……｣
｢よく分かりませんが解りました。取り敢えず食事をとりなさい。大食堂に向かいますよ｣
全く離れる気の無いイデアに靴を履かせ、髪を整えてからオルトと共に部屋を出た。
Aに後ろから抱きつきながら移動している方が随分と目立つのを分かっていないところを見ると、ストレスと眠気で頭が回っていないことが読み取れよう。
オルトに支えてもらいながら道を歩いていれば、ひょこりとアズール姿を現した。
｢あ！ Aさ……んと、イデアさんにオルトさん？ それは一体どういう状況ですか？｣
｢ストレスが最大値に達してしまい、甘えたになっているイデアさんです。オルトさんが知らせてくれました｣
｢な、成程？ ……で、今からどちらに向かわれるんです？｣
｢食事を疎かにしていたようなので、大食堂にて何か食べさせようと思いまして｣
Aに食事を疎かにするなと言われたくはないだろうが、今のイデアにその言葉は聞こえていない。
彼が認識しているのは、自分の腕の中に彼女が収まっていることと、極限まで抱え込んでいたストレスが少しずつ消化されていっていることだけなのだから。
イデアのあまりの変わりように狼狽えていたアズールであったが、友人を見捨てるのも気分が悪く感じて、彼が復活するまで手伝うこととしたのであった。
｢空腹時でも食べやすいものを取ってきましょうか、オルトさん｣
｢そうだね、行こう！｣
適当な場所にAとイデアを座らせてから、アズールとオルトの二人は大食堂のキッチンへと歩いていく。
しっかり者で博識な彼らならば安心出来ると思い、Aはゆっくりと息を吐き出した。
そして、未だ抱きついたまま離してくれないイデアの背に腕を回し、よしよしと優しく頭を撫で始める。
遠い昔、護るべき存在であった実の妹にしていたように優しく頭を撫で、美しい青色の髪を緩く梳いてやれば、イデアの腕に一層力が込められたのであった。
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神桜佳音(プロフ) - ゆるりさん» わざわざありがとうございます！更新楽しみにお待ちしておりますね！ (2020年6月13日 12時) (
レス) id: 8032f2476b (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 咲桜さん» こちらこそ素敵なリクエストありがとうございました！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
咲桜(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました！和歌のチョイスも素敵でした！ (2020年6月2日 21時) (レス) id: cb464004df (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 神桜佳音さん» そっちもありましたね！ 何となく思い浮かんだ歌を書いてたので……くっ、そっちでもよかったのに……！！ 後で出させて頂きます！ (2020年6月1日 23時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - こんばんは！いつも楽しく読ませていただいております！最新の更新の話で百人一首が出ておりましたが、君がためで、監督生君は春のに続けたのでしょう？おしからざりし命さえもあったのでは…？と思ってコメントしてしまいました！更新応援しております！ (2020年6月1日 22時) (レス) id: 06bd6db604 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月18日 1時
