Request：水泡を飾る ページ1
とある日のこと。
Aが自室にて読書に勤しんでいたところ、唐突に部屋の扉が開け放たれた。
一体全体何事なのかとそちらを見遣れば、怒りを露わとしているヴィルがスマホ片手に仁王立ちしている。
美しさと気品を重要視する彼がここまで荒れているとは珍しい、と首を傾げてみれば、更に彼の怒りが膨れ上がったのを感じ取った。
｢……何か｣
｢アンタねぇ！！｣
｢はい｣
｢何なのよコレは！｣
｢あぁ、これですか。以前、珊瑚の海に行った際に撮った写真です｣
｢聞いてるのはそういうことじゃないのよ！｣
アズールに対価を支払って貰う為、珊瑚の海へと訪れた際に全身コーディネートをされた話を覚えているだろうか。
その時、実は三人の頼みで写真を一枚撮っていたのである。
たったそれだけの事で何を怒っているのか分からず、Aがヴィルに説明を求めたところ、どうやらアズールにこの写真を自慢されたらしい。
自分以外の男が選んだ衣服を見に纏っているだけでも気に食わないのに、またそれが似合っているものだから文句のつけようもない。
そのモヤモヤが蓄積した結果、何故だか分からないがヴィルはこの考えに至った。
｢A、今からモストロ・ラウンジに行くわよ｣
｢ご理由は｣
｢アタシが人魚のアンタをコーディネートするの｣
｢嫌ですよ、私に利益がありません｣
Aから素っ気ない返事をされることなど、ヴィルには勿論想定内だ。
｢A、動物好きよね？｣
｢好きですけれど｣
｢なら子猫も好きよね？ ……アタシにコーディネートさせてくれるなら、たっくさんの子猫と触れ合う場をセッティングするわ。これならどうかしら？｣
ただでさえ人が多く、それに加えて男子校ということで窮屈な思いをする機会が多々あるAにとって、動物と戯れて癒されるのは必須である。
ヴィルならば変なコーディネートもしないであろうし、たった数時間の拘束で癒しが手に入れられるのならば頷く他なかった。
了承の返事を得られた彼は嬉しそうに破顔する。
｢アズールからラウンジの許可は貰ってるわ。さぁルーク、行くわよ｣
｢用意はバッチリさ｣
｢……貴方も大概神出鬼没ですねぇ｣
今までにない程に上機嫌なヴィルと、装飾品が大量に詰め込まれたと思われる鞄を二つ三つ持っているルークと共に、Aはモストロ・ラウンジへの道程を歩き始めた。
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神桜佳音(プロフ) - ゆるりさん» わざわざありがとうございます！更新楽しみにお待ちしておりますね！ (2020年6月13日 12時) (
レス) id: 8032f2476b (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 咲桜さん» こちらこそ素敵なリクエストありがとうございました！ (2020年6月2日 22時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
咲桜(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました！和歌のチョイスも素敵でした！ (2020年6月2日 21時) (レス) id: cb464004df (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - 神桜佳音さん» そっちもありましたね！ 何となく思い浮かんだ歌を書いてたので……くっ、そっちでもよかったのに……！！ 後で出させて頂きます！ (2020年6月1日 23時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
神桜佳音(プロフ) - こんばんは！いつも楽しく読ませていただいております！最新の更新の話で百人一首が出ておりましたが、君がためで、監督生君は春のに続けたのでしょう？おしからざりし命さえもあったのでは…？と思ってコメントしてしまいました！更新応援しております！ (2020年6月1日 22時) (レス) id: 06bd6db604 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月18日 1時
