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｢……重たいのですけれど｣
｢そんなこと言うなよー！ オレだってAに触りたいんだ！｣
｢お、おいカリム！！｣
｢貴方ねぇ、その言い方をすると変な勘違いを起こされる可能性がありますよ。今すぐお止めなさい｣
｢え、そうなのか？｣
｢はあ〜〜〜っ｣
身分の高い家に生まれている筈のカリムに、ここまで危機感がないと従者のジャミルも苦労するだろう。
たとえ距離感が近くとも、スキンシップが多くとも、勘違いするような発言をされようとも。
Aならば持ち前のスルースキルと経験で純粋な好意として受け取るが、何処ぞの令嬢に同じことをしてしまえば勘違いされること必須である。
頭を抱え、深くて長い溜息を吐き出したジャミルに対し、彼女は軽く共感を抱いた。
｢我が主も自由奔放なところがありますからねぇ……心中お察ししますよ、ジャミルさん｣
｢理解してもらえるだけで、大分と心が軽くなるな……。というか、Aの主もカリムと似た人物なのか？｣
｢似た部分がある、というだけですけれどね。童心を失わないことや、突飛な思い付きをするのは良いことだと思いますよ｣
良いことだけだとは限らない、というだけで。
Aが軽く遠い目をしたことに気が付き、ジャミルも同じく仲間意識を覚えたのである。
そして、同時に心の底から心配で堪らなくなった。
入学してから今までの数ヶ月だというのに、Aはハーツラビュルとサバナクロー、オクタヴィネルのオーバーブロットに巻き込まれているからだ。
｢A｣
｢はい｣
｢何かあったら俺やカリムに伝えるんだ。君の為ならば幾らでも力になろう。な、カリム？｣
｢ああ、オレ達に任せとけ！ 全力でお前のことを助けてやる！｣
どのような経路を通ってこの結果に至ったのかは分からないが、素直に彼らの言葉に甘えさせて貰おうと思い、Aはゆっくりと口を開いた。
｢取り敢えず、上から退いて頂けると助かります｣
｢――すっ、すまない！｣
｢あ、悪ぃな！ 重かったか？｣
｢体格の良い男性二人に上に乗られて、重たくないわけないでしょうに｣
カリムがまるで太陽の様な笑顔を浮かべたのに釣られて、ジャミルの目尻がゆるりと下がる。
スカラビア寮の談話室に話し声と、楽しげな笑い声が響いたのであった。
＊
優里様リクエスト、スカラビア寮の二人との御話。
四章の物語のプロローグ的な話を書かせて頂きました。
苦労人二人は気が合うようで、実はちょこちょこ一緒に料理を作っています。
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ゆるり(プロフ) - ゆゆ。さん» 黒執事好きですよ！！ ハムレットが出てくるんですか……！？ 漫画の購入が途中で止まっていまして……笑 近々揃えてちゃんと読んでみます！ でも！ 黒執事は凄く好きです！！！ (2020年8月20日 1時) (
レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ。(プロフ) - 凄く面白いです！(前の作品にコメごめんなさい…)ハムレットって黒執事にも出てきますよね…！もしかして作者様黒執事好きだったりしますか…？私的にはハムレット出てきて嬉しかったです（笑） (2020年8月19日 16時) (レス) id: ead64206de (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - マツリカさん» こちらこそリクエストありがとうございました！私もクルーウェル先生大好きなので書いていて楽しかったです！ (2020年5月22日 6時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
マツリカ(プロフ) - クルーウェル先生のお話ありがとうございました！！一生の宝物にしますうううつ！！！！ (2020年5月22日 6時) (レス) id: 88d493ffab (このIDを非表示/違反報告)
ゆるり(プロフ) - えむさん» こちらこそありがとうございました！ 勿論、リクエストは受け付けております〜！私でよければまたどうぞ！ (2020年5月21日 16時) (レス) id: 6a421b584d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆるり | 作成日時：2020年5月3日 19時
