二十六 ページ26
「大晴くん！」
カフェの引き戸を勢いよく開ける
カウンター席に座るびっくりした顔の大晴くんと、笑顔で私たちを迎えてくれたカウンターの中のまっさん。
「ちょうど良かった。今な、Aちゃんの話をしてたんよ。」
「ちょっ、まっさんなんでそれ言うん。」
「ええやん。Aちゃんと、こじけんお昼まだ？」
そうまっさんに聞かれた瞬間、鳴り出した腹の虫。
恥ずかしくて、思わず俯けば、まっさんはあっはっはと大口で笑った。
「そんなに笑わなくたって....。」
「レディーに失礼やで、まっさん。それにしてもA、走るの早いな...。」
「一応中学は、陸上やってたからね。」
「へー。」
「て、てかなんで二人手繋いでるん？？』
大晴くんに聞かれて、まだこじけんの手を握ったままだった事に気づいた。
「こ、こ、これはなんでもないの！」
勢いよく解くと、こじけんが少し傷ついた顔をする。
「そんな勢いよく振りほどかなくたって...。」
「今はそんなんどうでも良いから！私は、大晴くんに話があって来たんです。」
「俺に...？」
「最近、元気がなさそうだから。」
そう言うと、大晴くんは微かに口元を歪めた。
「そう..？別に俺は普段通りやけど。」
「大晴。」
カウンターの中から、まっさんが大晴くんの名前を呼ぶ。
「Aちゃんになら、話せるってさっき言ってたやろ。」
「でも。」
大晴くんの顔から笑みが消える。
「私、大晴くんの力にはきっとなれない。
何にもみんなの事まだ知らないし。この街のことだってまだまだ勉強中で。
だけど、涙のわけを知りたくて。
大晴くんの涙を止めたくて。
だって、笑顔が一番！っておじいちゃんはきっと言うから。」
そう言うと、大晴くんは、寂しげにふっと笑った。
「健三さんもそう言ってた。やっぱり、Aは孫なんやな。
長くなるけど、聞いてくれる？」
「もちろん。」
大晴くんは、ぽつりぽつりと話し始めた。
私が想像もしていなかった苦しい過去を。
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放置している間に、たくさんの評価、お気に入り登録ありがとうございます。
気づけば6月になってしまいましたが、掛け持ち作品含め、少しずつ更新を再開していく予定です。
マイペースな更新になってしまいますが、よろしくお願いします。
終わり
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ゆい(プロフ) - めっちゃおもしろいです！続きが気になります！最後まで読んでみたいです！ (2020年10月15日 20時) (
レス) id: aa225a9070 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 楽しく見させて頂いてます！無理ない程度に更新頑張って下さい！応援してます！ (2020年7月20日 4時) (レス) id: 1ca1725196 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - この作品の雰囲気大好きです。更新楽しみにしてます！ (2020年6月13日 2時) (レス) id: f8b6f2c6d6 (このIDを非表示/違反報告)
イロ(プロフ) - 更新ありがとうございます！こちらのお話大好きです、主様のペースでこれからも更新楽しみにお待ちしております^_^ (2020年4月21日 1時) (レス) id: 05f88c51dd (このIDを非表示/違反報告)
いちごぷりん - このお話すごく面白いです！！続きが気になります(*≧∀≦*)更新待ってます！！ (2020年4月14日 7時) (レス) id: 39651266d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雫 | 作成日時：2020年2月4日 23時
