二十五 ページ25
「あーー、見ちゃったん。」
次の日の大学からの帰り道。
大晴くんはそこにはいなくて。お腹すいたし、まっさんのカフェに行こうって、こじけん くん改めこじけんと二人でキャンパスからの道を歩く。
歩くと少し距離があるけど、春の陽気の中で歩くのは気持ちいい。
時折、どこからか飛んできた桜の花びらが、地面にひらひらと落ちて。
のどかな風景に心が安らぐ。
そんな時、ふと昨日の大晴くんの泣き顔を思い出して。
こじけんだったら、何か知っているんじゃないかと。
聞いてみたけれど。こじけんもやっぱり、誠也さんと同じように、少し苦い顔をするばかりだった。
「まあ、知らんことはないけど.....。あんま、聞いても気持ちええ話やないからさ。」
「...そう。」
「大晴の事やし。あんまり、俺の口からは簡単には話せん。ごめん。」
押し黙ってしまった私の顔色を伺うように、こじけんは、困り眉で謝ってくる。
「いや、私こそ。どうしても知りたいってわけじゃないの。でも、心配で。」
「そうやなぁ。俺も心配してんねん。」
健三さんが亡くなって初めての春やし。
そうポツリと呟いたこじけんの言葉が胸に引っかかる。
「おじいちゃんは、知ってたの？」
「ああ、おん。この時期になると、大晴は良く健三さんとおる事が多かったな。」
「じゃあ、やっぱり私も力になりたい！」
「いや、気持ちはわかるけどな.....。」
思わず、大きな声が出る。
わかってる。おじいちゃんの代わりになんかなれる訳ないって。でも。
「大晴くん探してくる！」
「えっ！？ちょ、ちょっと待ってA！」
空腹も忘れて、まっさんのカフェとは反対方向に走り出す。
「大晴なら、まっさんのとこやって！」
腕を掴まれて、振り返させられる。
その力が、思ったよりも強くて少し驚いたけど。
「千里眼って便利だね。」
「あんま、普段使いさせんといてや...。」
いてもたってもいられなくて、さっきより早足で、カフェ「きつね火」へ向かう。
「一生懸命やなぁ。」
こじけんは少し呆れたように、でも笑みを浮かべて、私の隣を走ってくれた。
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ゆい(プロフ) - めっちゃおもしろいです！続きが気になります！最後まで読んでみたいです！ (2020年10月15日 20時) (
レス) id: aa225a9070 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 楽しく見させて頂いてます！無理ない程度に更新頑張って下さい！応援してます！ (2020年7月20日 4時) (レス) id: 1ca1725196 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - この作品の雰囲気大好きです。更新楽しみにしてます！ (2020年6月13日 2時) (レス) id: f8b6f2c6d6 (このIDを非表示/違反報告)
イロ(プロフ) - 更新ありがとうございます！こちらのお話大好きです、主様のペースでこれからも更新楽しみにお待ちしております^_^ (2020年4月21日 1時) (レス) id: 05f88c51dd (このIDを非表示/違反報告)
いちごぷりん - このお話すごく面白いです！！続きが気になります(*≧∀≦*)更新待ってます！！ (2020年4月14日 7時) (レス) id: 39651266d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雫 | 作成日時：2020年2月4日 23時
