聞こえますか、この声が。 (ページ6)

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ep.6 ページ6

「いや、俺らは流石に収容所の中までは入られへんよ。」

俺の言葉に、優しく答えた西畑さんは、なんだか少し思いつめた表情をしていた。

「話してくれてありがとうな。てかさ、まあこれから一緒に行動する訳やし、その西畑さんっていうの辞めへん？」

「じゃあ、なんて呼べば良いですか。」

「うーん、大吾くんとか？」

「僕も下の名前が良いな。流星くんって呼んでや。」

「朝ごはん、出来たで～、なんの話してたん？」

「呼び方の話。」

「俺、リーダー！って呼ばれたい！」

「大橋くんで良いで。あ、俺のことは丈くんって呼んでや。」

リーダー、いや大橋くんが持っている大皿には美味しそうな、フレンチトースト、丈くんのお皿にはベーコンと目玉焼きがたくさん乗っていて、隣の長尾のお腹がグーッとなったのが聞こえた

「「「いただきます！」」」

フレンチトーストは、外はカリッと中はフワフワで、ベーコンの塩気と卵のまろやかさにもピッタリ合う。

「「「美味しい～！！！！」」」

お腹も膨れた後、話は引き続き呼び方の話になった。

「俺は、恭平で。」

「俺は、長尾とか、後下の名前は謙杜って言うんで、それでも大丈夫です。」

「道枝は？」

「あーー...俺は、みっちーで。あ、道枝でも良いっすよ。別に。ただ、下の名前じゃかなったらなんでも良いです。」

「そか。みっちーって可愛いな。」

「....はい。」

隣の長尾が俺の顔色を伺うようにそっと、覗き込む。

大丈夫やって。別に。

たかが、名前やん。

せやけど、

『駿佑。私の可愛い駿佑。』

呪いみたいなあの声は、いつまでも頭の奥にこびりついたまま。

あの、断末魔も。