聞こえますか、この声が。 (ページ48)

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ep.48 ページ48

「生まれた時から、僕はあの人の所有物で、僕に選ぶ権利は与えられなかった。」

晶哉の口調が普段と違う

晶哉の目はこっちを見てるけど、その瞳は俺を写してない。

「だから、逃げたのに........なのに、それすらも、アイツの計画のうちやった。」

「晶哉。」

「リチャくん。ごめんなさい。」

「え...？」

パンッ

破裂音と同時に左足に走る焼けるような痛み

「グッ..まさや....」

踏ん張りを失った俺の手からゴトリと拳銃が床に落ちる

弾は、掠めただけ。

大した怪我じゃない。

だけど。

「晶哉！！！やめろ！！！！！！！」

自分のこめかみに拳銃を当てるコイツ

「リチャくん。ごめんなさい。」

消え入りそうな声で、もう一度そう呟いた晶哉は、引き金に指をかけた

「晶哉！！！！！！！！！！！」

違う

違う

裏切ったとか、裏切ってないとか、どうでもええねん。

お前が、あの雨の日、ここにたどり着いたのが全てやんか。

「やめろっ！！」

血が止まらない足は、今は使い物にならない。

片足で必死に起き上がろうとするけど、間に合わへん

晶哉が目を固く瞑った瞬間、隙間から涙がポロリと零れた

「晶哉！！！！」

パアンッ

・

・

・

晶哉の細長い体が地面に倒れる

でも

晶哉の右手に持たされていた拳銃は、ドアを吹っ飛ばす勢いで入ってきたそいつらによって、

部屋の隅に蹴り飛ばされていた

「おいリチャ！なにやってんねん！！！！！！！！」

甲高い声で俺のもとに駆け寄ってくる右足義足の小さいやつ

「古謝くん呼んできますね。」

こんな時でも冷静に周りが見れる落ち着いてるやつ。

「良かった.....。」

放心状態の晶哉を抱きしめて、泣いている優しいやつ。

それから

「お前、ほんまにふざけんなよ。」

肩で息をしながらも、一番最初に部屋に飛び込んできて、晶哉の命を救った、頼れるリーダー。

「お前、この街が好きって言うたな。」

大晴の首元に、顔を埋めて声も出さずに泣き続ける晶哉は、俺の問いには答えなかったけど。

そんなん、どうでもいい。

「お前がおらんくなったら、この街が、この街じゃなくなるやろ。」