聞こえますか、この声が。 (ページ46)

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ep.46 ページ46

今江side

手先の感覚が無い

襲撃で、崩れてきた瓦礫の下敷きになった俺は、なんとか、自力で這い出た

頭から生ぬるい血が流れているのがなんとなくわかるけど、そんな事気にしてる場合じゃ無い。

「淳弥、どこや！」

見失った、相方の行方はすぐに見つかったけど、

それは、俺が望んだ形での再会では絶対になかった

「嫌やっ、嫌や、淳弥！！嫌や！」

まだ感覚が戻らない両手が真っ赤に染まっていく

淳弥の胸から流れる血は一向に止まる気配がなく

目の前に力なく横たわる親友に、手も握ってやれない自分の無力さを嫌ってくらい思い知らされる

そして

「今江。お前はタイミング悪いなぁ。」

「.......まとくん.....、なんで？なぁ！！！」

淳弥を抱える俺に向けられた銃

その持ち主は

信じたくなかった

家族だった人

お兄ちゃんやった人

「なんっで！！！」

「大地！！淳弥！！どこや！！！！！！！」

リチャと和也が俺らを探す声が聞こえる

「チッ....流石に、分が悪い。じゃあな。」

何が起こったのか、いまだに信じられず、呆然と座り込む俺の腕の中で、胸を赤く染めた淳弥は必死に俺に何かを伝えようとしてた

「.....ハァ...ッ大地...ハァ...」

「淳弥、教会に連れてったるから、もうちょっとの辛抱や」

「...ッハァ.....ええよ...もう...俺っ....ハァ...ここで死ぬ運命やったんやって...ハァ...」

「こんなとこで死なさへん。」

リチャと和也の声が聞こえる方向に、淳弥を背負って歩き出そうとした時

淳弥の腕が俺の胸をぎゅっと掴んで俺の動きを止めた

「....大地っ.....ハァ...おねがい..黙ってて..まとくんの事ッ..ハァッ...みんなに言わんといて....ッ..」

「なんで！？おい、淳弥！」

「ごめんなぁ、大地....最後まで、ッ...わがままで.....。」

淳弥の体から力が抜ける

「じゅんやぁああ！！」

閉じられたその瞳はもう何も映さない

わかってる

みんなに話さなければいけなかった

「ごめん....。」

もっと早く

末の意識が戻った日でも

丈が街を出て行こうとした日でも

丈が帰ってきた日でも

いつだって、言う機会はあった。

だけど

「淳弥が最期に言ったこと、無視できんかった」