聞こえますか、この声が。 (ページ40)

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ep.40 ページ40

道枝side

最近、夢を見るんよ

まだ、オカンが優しくて

オトンが生きていて

家族が幸せやった時の夢

あの日、俺がもっと強ければ

オカンは壊れずに済んだのかな

『駿佑。愛しているわ。この世の何よりも。』

泣きながら馬乗りになって俺を殴るオカン

最期まで、笑っていたオカン

『愛しているわ、駿佑』

この呪いは、きっと一生消えない

「みっちーーーーー！！！」

「うおっ、どうしたん、長尾。」

「俺と対決しよ！！戦お！！」

よく見れば顔面泥だらけで、かすり傷も多い長尾。

「お前、何してたん...?」

「えっ、何って稽古やけど。昨日は、大吾くんでしょ？今朝は大橋くんで～、今日はほんまは丈くんに稽古つけてもらうはずやったんやけど、忙しいみたい。だから！ね？みっちーとやりたいねん！」

収容所にいた頃は、長尾はちっちゃくて。周りに虐められてて。そんな長尾を助けたのが、俺と恭平やった。

長尾が、最近近距離の稽古をしているのは、知っていたけど。

「言っとくけど、俺大吾くんや、大橋くんと違って、どうやって手加減したら良いかわからんで。」

なんて言うと、ほっぺを膨らませてむうっとした表情になる長尾。

「そんな事言って、負けたらダサいでー。」

後ろから聞こえた声は恭平で。

「アホか。長尾には負けんわ。」

「じゃあ、長尾の後、俺ともやろうや。」

「嫌。恭平、こっすい手使うもん。」

「はぁあああ？」

恭平のアホ面と、まだ、むくれてる長尾

見てたら、不思議と笑えてきて。

３人で顔見合わせて大爆笑

「みっちー、久しぶりに笑ってる。良かった。丈くーん。長尾の稽古断ったのわざとやろ～？」

「ハァ？なんで、俺がそんな事せなあかんねん。」

「素直やないんやから～」

「しばくぞ。」

そんな俺らを見ながらお兄ちゃん２人がそんな話をしてたんは

俺ら３人は知るわけもなかった。