ep.37 ページ37
「大橋くん。」
「昼ごはんやから、呼びに来た。今日は、カレーやで。」
「ありがとうございます。」
大橋くんはポンポンと俺の頭を撫でると
俺の隣に腰掛けた
「他の子ら、呼びに行かんで良いんですか?」
「んーー?良いの、良いの。けんとと喋りたい気分やったの。」
とか言いながらも、全く喋る気配がない大橋くんと、サッカーでひたすら盛り上がってるみっちーと恭平を見つめる。
大橋くんは、いつもと変わらない笑顔で。
なんでかわからんけど、するっと言葉が出てきた
「時々ね、わからんくなるんです。」
「んー?」
「自分、何のためにここにおるんかなって。」
なんで、生きてるんかなって
俺の言葉には、答えず、大橋くんは空を見上げた
つられて、自分も見上げる
青空には所々に雲があって
時おり吹きぬける風が気持ちいい。
「そんなん、俺にもわからんよ。でもさ、俺はね、ここにおる仲間に出会わなかったら、きっとどっかでのたれ死んでた。だから、なんでここにおるんかはわからんけどね。
仲間が叶えたい思いがあるんだったら、俺はそれを叶えたい。」
一緒や。
俺も、恭平の復讐。みっちーの過去。
丈くんの悲しみ。大吾くんと流星くんの怒り。大橋くんの優しさ。
スラム街のみんなの悔しさ。やるせなさ。
全部わかるわけやないけど。
「俺でも、役に立てますかね。」
「けんとは、おるだけで役に立っとるよー?」
もう一回頭を優しく撫でてくれた大橋くんが、普段よりずっとお兄ちゃんに見えて。
なんだか照れくさくて、そっと下を向いた。
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中学生 - 続編も楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年4月2日 19時) (レス) id: b282a5f7e5 (このIDを非表示/違反報告)
Yueyamada0509(プロフ) - すごい物語に引き込まれましま... (2020年3月20日 12時) (レス) id: 251c301407 (このIDを非表示/違反報告)
中学生の真帆で - すごく面白いです。更新頑張ってください。 (2020年3月8日 9時) (レス) id: b282a5f7e5 (このIDを非表示/違反報告)
apple ちゃん(プロフ) - すごく面白いです。 更新楽しみです。 (2020年2月9日 13時) (レス) id: 1e77a25b35 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - ふーかさん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです♪ (2020年2月5日 18時) (レス) id: 8dd42e6d66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫 | 作成日時:2020年1月14日 16時