聞こえますか、この声が。 (ページ15)

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ep.15 ページ15

正門side

「派手にやられたなぁ。2人は全然怪我してなかったのに。」

「...」

そう言うとあからさまに落ち込むのがうちの最年少の可愛いところでもある。

「...ほとんど、俺一人で相手したんですもん。」

まあ、俺も意地悪やからついつい弄っちゃうんやけど。

「ねえ、正門くん、帰ったら稽古つけてください。」

「えー、嫌やわ。大吾たちがせっかく来てるんやし、お前ももっと喋ったらええやん。初めての子らもいたし。」

「...誠也くんは、あんまり楽しそうじゃなかったですね。」

晶哉は、鋭い。

観察眼は多分俺らの中で一番や。

だからこそこいつは俺らに気を使う。

ぼろっ切れみたいに路上に捨てられてた晶哉を俺とこじけんが拾ったのが去年の事。

2年前の事件で右足を失って、仲間を失って。

壊れかけていた誠也くんは、晶哉が来てから少しずつ変わっていった。

今まで、リチャくん一人と俺たちでなんとかしていた街の事に加わるようになったり、

大晴が義足を作る事に積極的になったり。

まだまだ、手のかかる最年少やけど、晶哉が、いいバランスを取ってくれてる。

「誠也くんも、色々あるんやろ。大丈夫やって。」

「...正門くん。俺、もっともっともっと強くなって。一人で敵を全員倒せるくらい、強くなりたいんです。

そしたら、もっとみんなの役に立てる。

もう、誰も悲しまない世界にしたいんです。」

そう語る晶哉の瞳は真っ直ぐで。

ああ、そうや。いっつもこいつは思い出させてくれる。

なんで自分が存在しているのかを。

「ま、そんなら稽古がもっと必要やな。しゃーない。帰ったらまた稽古つけたるわ。」

熱くなっていく目の奥に気づかないふりをして、

車のハンドルを強めに握った