聞こえますか、この声が。 (ページ14)

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ep.14 ページ14

長尾side

「うわー！！久しぶりに会ったわ歳下の子！あ、俺、佐野晶哉って言います！」

めちゃくちゃキラキラな笑顔で俺達に握手を求める人は、流星くんと同い年らしいけど、それよりはちょっと年上に見えた。

せやけど、それよりよっぽど気になる事がある。

「あ、あの俺、長尾謙杜です。えっと、あの佐野くん。」

「ん？何ですか？」

「その、怪我を先に治療した方が...。」

佐野くんの頬にはパックリと開いた切り傷が、あとは殴られたんかな？目の上に痛そうな痣もある。

「おい、晶哉！どこや！」

「ひっ！ちょっと挨拶してただけですやんかー、正門くんの意地悪。」

「おら、行くぞ。すまんな、こいつ戦闘後でアドレナリン出まくっててさ。ちょっと医者に連れてくわ。」

嵐のように去って行った佐野くんとそれを引きずって行った正門くんに唖然としている俺ら3人をよそに、玄関はにわかに騒がしくなっている

「ただいまでーす！！！やっつけてきましたー！！！」

「大晴、うるさい。」

「ビバああああああああ！」

「小島うるさいわ！！！」

大晴と呼ばれた人は、俺ら3人を見ると

大きい目をぱあっと広げ、ダッシュで近寄ってきた

「あ！あ！君らやんな！あのごっつぃ収容所から脱獄したん！話聞かせてぇや！」

「大晴、うるさいで。収容所にはどんな武器があったん？薬品は？やっぱり都市部の奴らって最新式の武器とか持っとるん？電気銃とか？？？？」

質問責めにされた、俺ら3人は硬直。

ボカッ

次の瞬間、頭を押さえて、しゃがみこむ2人とその奥で申し訳なさそうに笑う末澤さん。

「ごめんなぁ。悪い奴らちゃうんやけど。おい、お前ら自己紹介もせずに何してんねん。アホ。」

「殴ることないでしょー、痛い～。」

「俺は小島健。リーダーって呼んでくれや。」

「えっ、小島くんがリーダーなんすか。」

「せやで。誠也くんやと思ったやろ。フッ、甘いな。この俺が全てを牛耳る真のリーダー。そう、小島健や！！」

変わった人やな...。

「あ、俺福本大晴って言います。よろしくなぁ。」

めちゃくちゃハイテンションやったけど、いい人そう。

「変な二人でさ。ほんまにごめんな？」

そう、俺らに謝った末澤くんやけど、2人を見る眼はとても優しくて。

俺らも、新しい仲間に会えた事がより一層嬉しくなった。