（２６０）水ノ音 ページ32
円堂「あーダメだ。風丸〜オレも…………、ん？」
草地とは違う感覚が足に引っかかる。
……目を下に落とせば、見慣れた黒ジャージの上着だけがぽつんとそこに存在していた。
風丸「……？円堂？」
円堂「ごめん。先に戻ってて！ オレ忘れ物した」
風丸「わ、わかった……、……？」
オレは、首をかしげながら塔子を連れてく風丸の背中を見送った。
うっすらとジャージから香るミントは、改めて空翼のものだと認識させた。
他にも手がかりが落ちてないかと地面を注意深く見る。
円堂「……ん？」
途端、水の「ぱしゃっ」と跳ねるのが耳に入った。
道無き道をたどるようにして茂みに割り込むと、木々の隙間からキラキラと日光を反射する湖がそこに存在してた。
円堂「すっげー……、……！」
見惚れるがままに足を運んでいると、靴、黒い大きめのシャツ、ジャージのズボンが脱ぎっぱなしになっていた。
それも、湖へと向かうように、順々に。
……また、聞こえた。
とっさに、近くにあった木の陰に隠れる。
あれは……空翼だ。
さっきは水面に波紋が立つだけだったけど、浮き上がるように空翼が水面から立ち上がる。
あまり水音を立てないその緩慢な動きで雫が体のラインをなぞり、水面から跳ね返る日光が白い肌を一層際立たせるようにきらきらと輝いて、神秘的な雰囲気を築いていた。
白銀の髪を掻き上げながら顔に張り付くのを払うように首を横に振る。
体の下半身は腰まで水中に沈んでおり、見たところ水浴びをしてるようだ。
180度回れ右をし、空翼を視界から外す。
話しかけづらいってのもあるけど、問題はそっちじゃない。
何せ、服が散乱していると言う事は空翼は一糸纏わぬ姿な訳で。
どうすればいい？……待つか？ココで？
上がってばったり会ったりなんかしたら、それこそ空翼に嫌われんだろオレ！
頭の優れないオレの脳を悶々と思考が巡る。
……途端、不思議な音が流れてきて、耳の中へ入ってきた。
その"音"の正体は、湖からだった。
円堂「……？」
もう一度だけ、後ろめたい気持ちに押されながらも向きを戻すと、湖の真ん中で立つ空翼が両手を胸に当てていた。
風も吹いていないのに髪がふわりふわりと揺れ、彼女の周囲で光の粉がまるで蛍のように螺旋を上へと描く。
楽器も持ってないのに音楽の前奏の"声のない音"が、体から溢れ出る。
空翼は目をそっと開き、その小さな唇から、同じくらい小さな隙間を作った。
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さっちゃん - ドラマダ１話だけ見たよーとても面白かった！！雷雨が勧めるアニメは絶対見るからねーだからいつでも言ってねー毎日雷雨と会うたびにわくわくしながら楽しみにしてるんだからねー (2015年8月6日 9時) (
レス) id: 16c12ee81d (このIDを非表示/違反報告)
さっちゃん - おはよー今日から夏の高校野球がテレビで始まるよーうちはこのテレビを見て夏だなーって思う！あ！６巻おめでとーう！！ここにコメント書いたらいいんだねー (2015年8月6日 9時) (レス) id: 16c12ee81d (このIDを非表示/違反報告)
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