居酒屋妄想日記 ３冊目

再び女子会 ページ10

〆．



「どうしたらいいのかなぁ……」



友「うんうん、やっと気づいたかバカ」



「酷くない…？」



七人から、嬉しいことに気持ちを伝えられたと話したらこれ。



友「先輩方も頑張った方だよ。さ、私の奢りですから」



緑「いやいや、男やし年上やし、ここは出させてや。で、俺はここにおってええんかな」



「女子会ですからね」



緑「うーん……俺、男やで？」



「わかってますよ」



緑「……まあえっか、おもろいからおるわ」



ははは、と笑う智洋先輩。



例によって、女子会のメンバーはこの三人だ。



「本当は、全員断るべきなんだと思うの」



緑「なんで？」



「だって……一人の気持ちに、答えられないから………」



七人ともが大事で、誰を選ぶことも切り捨てることもできない。



そんなやつ、幸せになんてなっちゃいけない。



「七人全員のことが好きだなんて………」



好きな人が七人もいる、それは批判されることだと思う。



緑「…………そっかあ」



智洋先輩は切なげに呟く。



友「ふむ……」



少しの沈黙。



そして。



緑「………それをさ、言えばええんちゃう？」



まさかの智洋先輩からの提案。



「言う…？」



緑「全員に気持ちを伝える、イコール付き合うではないわけやし。俺らの方かてそうやん？」



「確かに………誰からもお付き合いを申し込まれはしなかったですけど……」



緑「気持ち伝えるだけなら、ええやん。七人も好きな人がおるって、それは幸せなことやで？」



「でも、」



緑「ほんまは俺だけ見てほしいけどさ。……少なくとも、Aは俺のことが好き。それさえわかれば、後は」



「後は？」



ふ、と笑う智洋先輩に、友達も何かを察したよう。



緑「俺が、一番Aを虜にさせたらええだけ」



「………へ！？」



緑「Aの七人への告白が、俺らのバトルの始まりってわけやなー」



友「抜け駆けもルールもないですもんね」



緑「そうそう。誰がAのたった一人になれるか」



なんか………二人だけ楽しそうだけど。



私は、かなり贅沢者なんだよね？



好きな人たちが、自分のことを奪い合う……。



………わああ、自分で言うと恥ずかしい！！



緑「というわけで、今度八人でご飯食べに行こか。この前みたいに。そん時言うて？」



「えっ」



緑「予定が合う日探さなな〜」



のほほんと笑う智洋先輩とは対象的に、私の心臓はバクバクだった。



〆．

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