居酒屋妄想日記 ３冊目

髪色、恋心 ページ9

〆．リクエスト



複雑な心のまま、日は過ぎていく。



少しずつ心を整理し、みんなを意識して見るようになっていた。



……今更ながら、うえすとで働くみんなは、髪色が様々だ。



私と照史さんと大毅先輩は黒。



はまちゃん先輩と流星先輩はダークブラウン、



のんちゃんは明るめの茶髪で淳太さんは綺麗な栗色。



そして智洋先輩は………



「わ、今日は赤なんですね！」



緑「そうそう、気分変えて」



「似合ってます……！」



赤「俺も赤にしよかな」



黄「神ちゃんやからやろ」



赤「キィィッ」



「私も染めてみたいなぁ」



緑「Aは綺麗な黒髪やからなぁ。もったいない気ぃもするけど……明るい色も似合いそうやな！」



「本当ですか？えへへ、智洋先輩にそう言ってもらえると嬉しいです」



二人の間に流れる甘い空気。



赤「………ストーップストップ〜！！ほれ、仕事仕事！真面目にやれっ」



「大毅先輩がそんなこと言うなんて…」



緑「はは、言われてる」



赤「俺かて真面目くんやしぃ〜」



「へぇ。私、真面目な人よりほどほどにサボったりしてる人のが好きですけどね」



赤「っ…………しゃ、しゃあないな！休憩や！」



橙「あほか、仕事や」



照史さんが大毅先輩の頭を小突き、まるでショートコント。



緑「なあなあ、今度ヘアアレンジさせて」



「はい！ふふ、ちょっと照れちゃいますね」



緑「なんで？」



「だって……智洋先輩に、髪触ってもらえるんですから」



赤「！？！？」



緑「はぁ………ずる、」



目を見開く大毅先輩に、顔を赤くする智洋先輩。



黄「小悪魔Aちゃん、これ３番さんに運んで？」



「あ、はいっ！………小悪魔？」



配膳中に首を傾げる。



「あっ、空いてるお皿お下げしますね！」



客「お姉さん、あのお兄さんたちと仲いいですね」



「え？あ、そうですね、長く一緒に働いてるので…」



客「誰かと付き合ってるとかないですか？私……あの人気になってて、」



お客様の指さす先にいるのは……や、誰？誰かわかんないけど、答えはひとつ。



「……ないです、よ！全然！みんなフリーなんで」



言うと、きゃっきゃとはしゃぎ出すお客様たち。



…………なんで今、モヤッとしたんだろう。



多分、誰に恋人ができても……私はこの感情を抱く。



みんなが私に抱いている感情と同じもの。



「……………好き、？」



私は………みんなのことが好きなの？



〆．

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