居酒屋妄想日記 ３冊目

独占欲強い 緑side ページ46

〆．



どんな気持ちで………か。



俺が思うに、Aは自分を責めすぎていると思う。



好きな人が七人もいた。



珍しいかもしれんし、世間一般では「男好き」ともとらえられるやろう。



ただし、それは俺の希望というか。



俺だけやなくたって、結果的にAは俺を男として見ている。



俺が触れれば顔を赤くし、他の女の人と言葉を交わせばあからさまに不機嫌になる。



そんな可愛いAを見るだけでも、俺は充分に幸せやと言うのに。



今日はAを独り占めできんねやで？



今、どんな気持ちでAの隣におるかって言うたら、



この上なく最高な気持ちでおるよ。



好きな子と浴衣デート。



そろそろ花火も上がる。



逆に聞きたいよ、Aは七人のうちの一人である俺とデートしてて幸せか、って。



ちらっとAの方を見ると、不安げに瞳を揺らしながら、



ひょいひょいひょいっと金魚をすくい続けてる。



いや、すごすぎやろ。



緑「俺は、Aを幸せにできてるかなぁって、思っとるよ」



「へ？」



予想外の答えやったか？



緑「俺は、Aとおれて幸せやで。Aの時間を、俺が独り占めしてんねんから。



あ、俺けっこう独占欲強いで？うえすとの他の六人はまたちょっとちゃうけどさ。なんて言うんかな、ライバルではあるけど大事な仲間というか。



Aは七人を好きなままでもええけど……でも今は俺だけと過ごしてくれてんねんし、独占欲が爆発してまうわけ。



………そんな俺とおって、今、Aはどんな気持ちでおるんやろな」



顔を覗き込むと、Aは動揺したらしく、そのままポイは破れた。



「あ……」



緑「はは、破れてもたな。勝負ここまでにしよか。Aの勝ち」



金魚の量が倍くらい違うんやけど。



緑「おっちゃんおおきにー」



下駄の音が耳に響く。



ちょっと定番のかき氷でもいっとくかなーと考えていたら、Aに手を引っ張られた。



「智洋先輩！」



緑「んぇ？ど、どしたん」



なんや？もう足痛くなったとか？



振り返ると、Aは顔を真っ赤にして叫んだ。



「と、智洋先輩……と、キス、したいです…！」



緑「………………、ええええ！？」



〆．

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