居酒屋妄想日記 ３冊目

浴衣デート ページ44

〆．



桃「え？神ちゃんも浴衣！？」



緑「これから二人で浴衣デートなんで」



智洋先輩は私の方を見て、「な？」と笑顔になった。



橙「神ちゃんも似合ってんなぁ。あ、いつも頑張ってるから神ちゃんにもなんかサービスしたるわ」



緑「ほんま〜？コーラがええ！炭酸！」



紫「はいよ〜」



私の向かい側に腰掛けた智洋先輩。



あ、ピアスがオシャレ。



「浴衣、想像してたより落ち着いてますね」



緑「そ？髪色が金やからさ、派手派手もええけど控えめに。花火主役やろ？」



「そうですね、浴衣まで派手だと花火より智洋先輩が目立ちますからね」



どうせ智洋先輩かっこいいから、すれ違う女性たちは花火より智洋先輩に見惚れるんだろうな……。



緑「……にしてもA、全部可愛すぎてどこから褒めよ？悩むわぁ」



「えっ！？」



緑「髪の毛巻いてるし……化粧もちょっと変えとるやろ？浴衣かて俺の好みドンピシャ、最高すぎる」



「…………、ありがとうございます」



そんなに褒められるとは。



緑「このまま俺の彼女になりませんか」



「いきなりのお誘いですね…」



黄「コーラ、どーぞ」



緑「あ、やったー」



会話を妨げるように置かれたコーラ。



意図的すぎて、嫉妬かと思っちゃった。



「……………………」



目の前でコーラを飲む智洋先輩は、いつもより幼く見える。



「智洋先輩も、最高にかっこいいです」



緑「…っ、ありがとう」



不意打ちだったかな。



智洋先輩は顔を赤くして俯いてしまった。



「…………あの、そろそろ行きましょ？お店混んできちゃうので」



緑「せ、せやな！」



二人でグラスの残りを一気飲み。



紫「しげに洗わせるから置いとき〜」



「ありがとうございます！」



緑「いってきまーす」



ちょうど降りてきた大学生組にも手を振り、智洋先輩と手を繋いで歩き出した。



………手を繋いで！？



自然すぎて疑問すら抱かなかった。



緑「さてさて。見せつけも終わったし」



「見せつけてたんですか」



緑「そ！あえてAの可愛ええ姿を他の人らに見せることで、今からその可愛いAとデートしてきます〜ってアピールできるやん」



「わお…」



緑「なんやろ、優越感？」



くふふ、と笑う智洋先輩。



私だって、智洋先輩を独り占めできる優越感はあるんですよ。



〆．

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