居酒屋妄想日記 ３冊目

淳太さんの家 ページ40

〆．リクエスト



橙「ほんならお疲れ〜」



黄「お疲れ」



「お疲れ様です…！」



照史さんは実家に行く用事があるとのことで、ササッと帰っていった。



ご飯食べてる時にとても笑わせてくれて、本当に素敵な人だと思った。



そして淳太さんは。



黄「A、今日はうちにおいで」



「えっ………いいんですか？」



黄「ええよ」



「でも……」



黄「今日は下心ないよ。A……家に帰りたくなさそうやし」



うう、当たり。



「そうですね……家、今帰っても一人なんで、淳太さんと過ごせるなら心強いです」



黄「ほんなら決まり。車やから、ちょっと駐車場まで歩くけど」



「………それじゃあ、手、握っててもいいですか」



黄「可愛ええお願いやな。もちろんええよ」



言い終わらないうちに私の右手が温もりに包まれる。



夏だというのに、その温かさが本当に心地よかった。



やがてたどり着いた淳太さんの家。



高層マンションの上層階、かなり広い。



黄「お風呂入っといで。その間に着替えとか準備しとくから」



「あ、ありがとうございます…」



好きな人の家に泊まる。



こんなにドキドキするっけ？



いや、そんな経験ないから知らないんだけど。



流星先輩は泊まりに来る側だしな…。



ゆっくり汗を流させてもらい、いつの間にか洗面所に用意されていた着替えに袖を通す。



淳太さん、華奢な体してるけど着痩せするだけなのかな。



男物だから？大きめを着るタイプ？



なんにせよダブダブなシャツに、また心をときめかせた。



洗面所の鏡に映る自分の顔は紅潮していたけれど、きっとお風呂上がりだから……だよね。



「淳太さん、お先いただきました…ありがとうございます」



黄「ん？ああ、おかえり。………はは、なんかええな」



「え？」



黄「俺のシャツ、Aが着てるって。彼シャツとか、いつか彼女にさせてみたかったんよ」



まだちゃうけど、と付け加え、淳太さんの視線が体中に浴びせられる。



「……も、もうっ！淳太さんもお風呂入ってきてください！」



黄「照れてんの？可愛ええなぁ。ほんなら入ってくるけど。あ、ドライヤー使うやろ？こっちあるから」



いたれりつくせり。



本当の恋人のようで、なんだか心までポカポカした。



〆．

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